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日経記事;『東芝/ソニー液晶統合 携帯向け中小型』に関する考察

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経営戦略 M&Aの事例と経営上の課題

皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月7日付の日経新聞に、『東芝・ソニー液晶統合 携帯向け中小型、世界首位争い 革新機構、1000億円超出資 官民一体で新ライン 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝とソニーはスマートフォン(高機能携帯電話)などに使われる中小型の液晶パネル事業を統合する。

年内にも統合新会社を設立し、官民ファンドの産業革新機構から出資を受け入れる方向で最終調整に入った。同機構からの資金をもとに国内に生産ラインを新設、世界シェア首位を争う。
テレビ用の大型では韓国、台湾勢に引き離されているが、成長分野である中小型では官民一体で競争力を高め、次世代の高精細パネルの開発・量産を急ぐ。

東芝とソニーは6月中の合意を目指している。統合本社は増設投資に向け、1000億円超の第三者増資を実施する。全額を産業革新機構が引き受ける。

最終的な出資比率は革新機構が7-8割を、残りを東芝とソニーが分け合う形になる見込みだ。

東芝とソニーはそれぞれ全額出資会社で液晶パネルを生産している。
新ラインはソニーモバイルディスプレイ(SMD)の東浦事業所に導入する案が有力。液晶より高精細で消費電力の少ない有機ELパネルの量産技術の確立も急ぐ。

米ディスプレイリサーチによると2010年の中小型液晶パネルの世界シェアは、東芝の液晶子会社、東芝モバイルディスプレイ(TMD)が9.2%で4位、SMDが6.1%で7位。合算すると首位のシャープ(14.8%)を抜く。

スマートフォンやアップルの「iPad」などタブレット端末に採用される中小型液晶は、指で画面に触れて操作するなどテレビ用パネルより高い機能が必要。

現在は日本メーカーに優位性があるが、韓国や台湾企業の追い上げも激しい。

東芝は社会インフラと半導体事業に経営資源を集中させ、ソニーは自社工場をできるだけ持たず、製品を外部企業に生産委託する戦略を進めている。
中小型液晶は中核分野ではないため、事業統合により連結対象から外す。

革新機構は東芝とソニーが単独で事業を進めた場合、十分な能力増設投資ができず、競争力を失ったテレビ用パネルの二の舞になる可能性が高いと判断。
有機ELパネルの研究を続けてきた両社の統合を後押しする。

中小型液晶をめぐっては世界6位の日立ディスプレイズ(日立DP)も電子機器の受託生産最大手である台湾・鴻海精密工業と交渉中。合併会社を設立し、能力増強を検討している。

中小型液晶業界は日立ー鴻海、東芝ーソニー、シャープの上位3位陣営が世界需要の5割を占める勢力図になり、集約が進む。

シャープはテレビ用パネルでは鴻海と資材調達などで提携交渉をしているが、中小型液晶は単独で事業を進める方針。

テレビ用パネルを生産する亀山工場を中小型液晶に転換することを決めている。』


ご存知のように液晶テレビの販売価格は、供給量が需要を上回り、価格下落状態になっています。
これは、市場の急拡大が止まったことと、供給メーカー数が過多になっているために起こっています。

中小型液晶は、急激な市場拡大中の高級携帯端末やタブレット型パソコンに使用されており、同様に需要も大きく成長しています。

テレビ用途と異なり、タッチパネルなどの付加価値を付けられる余地があり、国内メーカーが得意とする分野です。

この業界の国内主力メーカーは、シャープ、東芝、ソニーです。
シャープは、液晶パネル事業を主力にしています。

片一方、東芝は経営資源を大胆にエネルギー・環境などの社会インフラや、半導体事業に集中しています。
ソニーは、ディスプレイ事業の建て直し中で、ディスプレイデバイスのアウトソーシング化を急いでいます。

国策として、政府は国内の中小型液晶事業の再編と再強化を急速に行う決断をして、産業革新機構を通じて行う方針を固めたとみています。
中小型液晶事業を今後の成長分野の一つとして扱い、育成支援することになります。

中小型液晶の場合、今後の競争力の維持・強化と、生産量拡大のために要する投資金額は1000億円を超えると予想されています。

東芝やソニーは、自社の主力事業でない分野に大型投資はできません。
革新機構がイニシアチブをとって、中小型液晶事業の競争力強化を行うことになります。

今回の政府決定は、国内の主力事業の競争力を維持し、事業規模を拡大することにつながりますので、大いに期待します。
液晶ディスプレイは、裾野の大きい産業の一つであり、国内メーカーの競争力が維持されています。

同様に、他の戦略的に重要な産業分野にも集中して強化するメリハリのついた支援策を期待します。

中小型液晶事業の新会社は、徹底した集中と選択で大型投資を行い、世界市場を席巻し勝ち残る企業になって、国内産業牽引の柱の一つになってもらいたいです。

IT関連市場は今後とも成長が見込まれるとともに、国内メーカーが勝ち残る必要のある分野の一つです。

革新機構は、この新会社の運営を円滑に行って、効率的・効果的事業展開を行えるようにする必要があります。
今後の事業モデルの一つになりますので、進展に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

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