中と外に開いた中庭の家 「Sz邸」 - 住宅イメージ - 専門家プロファイル

宮原 輝夫
宮原建築設計室 
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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中と外に開いた中庭の家 「Sz邸」

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またまた、住宅のお話しです。今回は中庭住宅(中庭がある家)です。

中庭住宅というと、非常に人気があって施主の希望も多い反面、値段が高そうとか、湿気が抜けなさそうとか、暗そうとか、外から中が見えなくて閉鎖的とか、なにか怖そうとか、強盗が入ったらどうしようとか、マイナスのイメージを持たれる方も多くいます。実際そんな問題を抱えている中庭住宅も多いと思います。今回お話しするのはSz邸という住宅です。


西に大きな緑豊かな敷地に面し、東は豆の畑に面する65坪の閑静な敷地に立つSz邸、はじめて敷地を拝見した際はとても理想的に見えました。しかし、もういちど周囲を見直してみると、公園に遊びに来る人の車で家の前は違法駐車だらけ、公園の遊歩道からは敷地が丸見え、豆の畑だっていつまで青々としたいい景色でいてくれるか判りません。私達は、開放的な良さと、セキュリティやプライバシーを守るという機能を兼ね備えた「中と外に開いた中庭の家」を設計する必要が有りました。


この住宅では、前面道路から奥に向かう4枚の壁を平行に配置して、家族だけのゾーン、みんなのゾーン、+αと、3つのゾーンに明確に分けました。そして更にゾーン内で、中庭とガラスの壁を使って各々のスペースへと割り振りました。例えば、家族だけのゾーンは主寝室、浴室、中庭(中に開く中庭)、趣味室です。また、みんなのゾーンはリビングルーム、中庭(外に開く中庭)、ガレージ、そして前面道路を挟んで公園の緑という感じです。上に目を向けてみると、両ゾーンの屋根は、全て中庭に向かって勾配しています。これは、室内から最も大きな空(そら)を室内に取り込む為の工夫です。特にダイニングから公園の木々を眺める時に、ガレージの屋根が最も薄く見えるように屋根の勾配を決めています。真ん中の+αゾーンは、約15メートルの長さを持ち、全てのスペースをつなぐスペースです(逆に言うと、ここを通らなければどこにも行けません)。各室につながる扉は、寝室の扉、収納の扉、中庭への扉も含めて9枚、同じ大きさ同じ色、何処につながるのか、何かワクワクする様な、そんな空間となりました。


中に開く場所、外に開く場所、そしてそれぞれを楽しみを持ってつなげる場所。こうして、中と外に開いた中庭の家、Sz邸は完成しました。

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