日経記事;『東芝、スイスの電力計大手を買収』に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『東芝、スイスの電力計大手を買収』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月20日付の日経新聞に、『東芝、スイスの電力計大手を買収 送電網で優位へ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『東芝は19日、スマートグリッド(次世代送電網)関連企業、ランディス・ギアを買収すると発表した。買収総額は23億ドル(約1900億円)。 

大震災や原発事故を受け日本全体で危機モードが強まるなか、大型買収に踏み切るのはなぜか。
背景を探ると、発電所から工場・家庭までの電力流通網で新たなバリューチェーン構築を目指す戦略が見えてくる。

東芝は9月までにランディスの全株式を買い取り、子会社化にする。
同社は双方向の通信機器を持ち、電力制御に役立てるスマートフォンメーター(次世代電力計)の世界最大手で、世界30カ国以上に拠点を持つ。

東芝では、2006年に6000億円以上を投じて米原子力最大手のウエスチンぐハウスを買収して以来、過去2番目の大型買収になる。

攻めの姿勢を鮮明にしたのは、スマートグリッドの分野は技術を網羅し、世界市場を押えた方がより大きな価値を生み、収益を最大化できるからだ。

東芝は原子力、火力、水力、太陽光など幅広い発電システムに加え送変電装置、充電池などスマートグリッドに不可欠な事業を多く手掛ける。

デジタル家電や白物家電、昇降機、照明など電力を消費する製品群、電力制御をつかさどる情報通信技術も豊富だ。

スマートグリッドはこうした製品や技術をネットワークで効率よく制御することで電力消費を減らす。そのつなぎ目として重要な役割を担うのがスマートメーターだ。

東芝も手掛けていたが事業規模は小さい。現状のままではスマートグリッドのビジネスモデルをうまく描けなかったのだ。

ランディス買収でグローバル化も進展する。電力関連市場は国や地域によって特性が異なり、地元企業が圧倒的な存在感を示す。
自力の販売開拓は容易ではなかったが、今後はランディスが世界に持つ8000以上の顧客が手に入る。

東芝は唐突に決断したわけではない。スマートグリッド強化と世界戦略を狙い、ブラジルやインド、イタリアで送変電関連の企業買収や提携を進めてきた。

09年には仏アレバの送変電事業の売却を巡る入札に6000億円を超す価格で応札したが、最終的には仏アルストムが落札。
ランディス買収はこうした動きの延長線上にある。

東芝はスマートグリッドを含む環境配慮型都市「スマートコミュニティ」関連事業の売上高を15年度までに10年度比2.3倍の7000億円に引き上げることを目指す。
その目標達成の有効な手段はやはり、M&Aだ。

東芝の財務基盤は改善している。09年3月末に4倍に膨らんでいた負債資本倍率(DEレシオ)は11年3月末で1.25倍に下がった。
佐々木社長は「さらに下げると、勝負をしないつまらない会社になってしまう」との思いを強めているという。
ランディス買収は、スマートグリッド事業の強化に向けた序章なのかもしれない。』


5月10日のブログ・コラムに、日経記事『東芝、スイス社買収へ応札 次世代送電網網関連 落札額2000億円前後』に関する考察を書きました。

その後、東芝は1900億円でスマートメーター大手のランディス買収を行いました。
今回の日経記事に書かれています通り、東芝は国内大手企業の中では群を抜いてM&Aを積極的に行ってきました。

全て世界市場での勝者になるための布石であり、事業目標は、環境配慮型都市「スマートコミュニティ」関連事業の世界ナンバーワンになることです。

世界レベルでは増える人口、新興国を中心に発展する経済、限られた天然資源、地球温暖化対策など、世界市場で見ますと、環境事業は巨大なニーズと市場が存在します。

この世界環境市場で勝者になるために、勝者連合型のM&Aを積極的に行ってきました。
5月10日に書きました通り、この経営戦略は明確であり、世界市場で勝者になるための施策として他社は参考にできます。

スマートグリッドのニーズは国内で急速に高まってきています。
東芝は今回の大震災後の国内で、電力不足が急に起こるとは予想していなかったと考えます。

今まで国内の電力会社はスマートグリッドに見向きもしませんでしたが、今後の電力不足はこの状況を完全に覆しました。

家庭や企業は、今後効率的な電力消費を行うため、積極的にスマートグリッドを活用します。
スマートメーターやIT技術は重要なプラットフォームになります。

国内の状況変化は、東芝に大きな追い風になります。
他の国内企業が、太陽光発電や蓄電池、スマートメーターなどの個別分野で強い競争相手になります。

東芝も必然的に個別分野でも競争し、ナンバーワンになろうとするでしょうし、他社も負けてはいません。

競争は進化を促進し、国内企業の競争力は世界市場で強化されます。
国内市場で勝ち残ることは、世界市場でも勝ち残れることを意味します。

東芝は、送変電、スマートグリッド、LED照明、太陽光発電、蓄電池、IT技術などのコア技術・製品を持った総合的な環境事業会社になります。

パナソニックや日立、シャープなどの他電機会社も世界市場で覇者になるための施策を実行してくると予想します。

国内企業が多くの環境関連事業分野で覇者になれる能力を持っており、そうなることを期待します。


スマートグリッド市場は需要拡大や技術革新が非常に速く、自前でじっくり事業を育てる時間はありません。
M&Aは、短期間に新規事業を立上・強化するのに極めて有効な方法です。

東芝以外の国内電機会社の動きに注目します。
中小企業にとっても、世界市場で勝者になるための動き方として、東芝は参考になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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