先月の本コラムにてテーマに挙げた「震災特例法」の第一弾とも言うべき「東日本大震災の被害者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案」(震災特例法案)が、4月27日の参議院本会議で可決・成立され、同日に公布・施行されました。
それを受けて、翌28日に国税庁より解釈通達や個人・法人向けのパンフレット類も配布されています。(国税庁のHPよりPDFにてご覧になれます)
まずは国税(所得税・法人税・相続税・贈与税・消費税等)について。
前回の補足になりますが、今回の震災特例法の適用範囲については、地震による直接の災害だけではなく、以下のケースが適用対象となりました。
(1)余震による被害
(2)福島の原子力発電所の事故による災害も適用対象
地震や津波等による事業用資産の滅失と同様の損失と認識できるものについては、それぞれ震災特例法の所得税法等の特別措置、法人税等の特別措置が適用となるようです。
今国会中に、「震災特例法」の第二弾の法案提出も検討されています。
具体的な項目を並べると
◇住宅資金貸付を受けた場合の課税の特例
◇住宅の再取得等に係る住宅ローン控除の特例
◇被災地向けの優良賃貸住宅の割増償却
◇土地譲渡益課税の特例
◇事業承継税制の納税猶予の特例
◇被災者が取得する住宅取得等資金に係る贈与税の特例
等が取り上げられているようです。
続いては、地方税(固定資産税・不動産取得税、自動車取得税等)について。
「震災特例法」と同じ日に可決・成立し、同日公布・施行された「地方税法の一部を改正する法律」では、東日本大震災の被災者等の負担軽減を図るために、固定資産税や個人住民税、不動産取得税、自動車取得税などの地方税に特例措置を設けられています。
今回の改正地方税法によって、固定資産税・都市計画税については、津波で甚大な被害を受けた区域内(具体的には各市町村長が指定する区域内)の土地・家屋に対する23年度分の課税が免除等されます。
また、償却資産については、代替資産を被災地域において取得等した場合には4年間減免されます。
では、液状化現象によって被害を受けた土地・建物等についての固定資産税はどうでしょう?
答えは、「個々の被害状況に応じて減免が講じられる」です。
液状化は、千葉県の浦安市のように埋立地が多く存在する地域だけでなく、埼玉県の久喜市のような被災地に認定されてない地域でも発生していますが、同じ地域内でも、居住に重大な支障が及んでいるケースもあれば、居住するに際しては著しい支障が見られないケースもあり、地域指定による一律の課税免除は妥当でないということから、自治体が個別に減免措置を講じることになります。
震災特例法の第2弾についても、一刻も早い成立が待たれます。
このコラムの執筆専門家
- 高原 誠
- (東京都 / 税理士)
- フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定 税理士
不動産鑑定士と協働。不動産に強い相続専門の税理士です。
フジ相続税理士法人は、名前の通り「相続」に特化した専門事務所です。税理士だけでなく、不動産鑑定士・司法書士による相続・不動産問題の独立系コンサルティンググループですので、相続・不動産全般のお悩みに対応しています。どうぞお気軽にご相談下さい。
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