- 藤宮 浩
- フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定 不動産鑑定士/フジ総合グループ代表
- 東京都
- 不動産コンサルタント
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今回は、ちょっと変わった減額要因についてお話をしたいと思います。
それは埋蔵文化財、つまりは地面の下に埋もれたままの文化財(遺跡)のことです。地域によっては近世、近現代のものも対象となることはありますが、原則的に中世頃までの文化財(遺物)は「文化財保護法」により、土木工事等をする際に埋蔵文化財の有無を調べることになります。
埋蔵文化財が高い確率で眠っているだろうと推測される地域のことを「周知の埋蔵文化財包蔵地」と言い、その大部分の該当区域は、各市区町村の教育委員会が作成する「遺跡地図」や「遺跡台帳」に表示されています。ただし、「周知の埋蔵文化財包蔵地」が必ずしもこの「遺跡地図」や「遺跡台帳」に登載されているとは限らないので注意が必要です。
実際の手続きとしては、各市区町村に照会制度が設けてありますので、それで判断することになります。
また、「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当しない地域であっても、実際に工事を始めて、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡や出土品を発見した場合には、その現状を変更せず、滞りなく文化庁長官に対して届出を行わなければなりません。
では、実際に埋蔵文化財を見つけた場合、発掘するとなるとその費用は誰が負担するのでしょう?
所轄の教育委員会によって取扱いは違いますが、原則的には試掘や確認調査費は市区町村が負担しますが、その結果、更なる発掘調査が必要となった場合には、その発掘調査費は、その土地の所有者・買主・開発事業者等が負担することになるのです。
そのため、「相続した土地が周知の埋蔵文化財包蔵地であった場合には、発掘調査費用の額の80%相当額を控除して評価することが相当である」という裁決が平成20年に国税不服審判所から出ています。
国税不服審判所からの裁決が平成20年とまだ最近のため、相続した土地が埋蔵文化財包蔵地であるにも関わらず、発掘調査費用相当額の控除を行っていない申告書で、まだ相続税の還付手続きが可能な土地が多数あります。
実際に、当事務所でも、他の減額要素と合わせて埋蔵文化財包蔵地の評価減に成功した多数の事例があります。
相続税の還付の手続きが可能な期間は、相続開始日から5年10ヶ月以内です。
一見、特徴のない土地に見えても思わぬ相続税の減額要因が隠れていないとも限りませんので、土地を含んだ財産を相続された方は、期間内にぜひ一度、専門家のセカンド・オピニオンを受けられることをお勧めします。
このコラムの執筆専門家
- 藤宮 浩
- (東京都 / 不動産コンサルタント)
- フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定 不動産鑑定士/フジ総合グループ代表
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