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日経記事;『武田、スイス製薬大手を1兆円で買収』に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月13日付の日経新聞に、『武田、スイス製薬大手を1兆円で買収 新興国市場に参入  世界10位に 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『武田薬品工業はスイスの製薬大手ナイコメッド(チューリヒ)を買収することで大筋合意した。約1兆円を投じて発行済み株式すべてを取得する。

国内製薬会社による企業買収では過去最大で、日本企業全体でも上位3位に入る規模となる見通し。
同社を傘下に収めることで武田薬品は世界の製薬10位に浮上する。ナイコメッドが強い新興国市場へ本格参入し、欧米の製薬大手を追撃する。

近く正式契約し、発表する。ナイコメッドは呼吸器分野などの医療用医薬品や、他社の特許切れ成分でつくる後発医薬品が主力。

2010年12月期の売上高は32億ユーロ(約3700億円)で、医療用薬品の世界売上高では30位前後。売上高の約4割をロシアや中南米、アジアなどの新興国から得ているのが特徴。

ナイコメッドは複数の投資ファンドが株式を保有する非上場企業で、武田薬品は各ファンドから株式を取得することで大筋合意した。

買収費用は手元資金に加えて金融機関から借り入れるほか、社債発行なども検討している。
円高で買収額を数年前と比べて抑えられることもM&Aの決断を後押しした。

武田薬品の11年3月期の売上高は1兆4193億円で、世界の製薬業界での順位は15位前後。
医療用薬品売上高の5割強を海外で得ているが、海外売上高の内訳では米欧が9割以上を占め、アジアなどの新興国は1割未満にとどまる。

米国の調査会社IMSヘルスによれば、中国やインドなど新興国の09年の医薬品市場は約1300億ドル。
世界最大の市場である米国(約3000億ドル)と比べれば半分以下だが、14年まで毎年14~17%という急ピッチで拡大していく見通し。』


今回の武田によるM&Aは、今まで武田が抱えていた経営課題を一挙に解決する経営手段です。
1兆円という金額は大きいですが、今後の新規企業展開を考えると効果的な買収です。

武田を含めて国内の製薬企業が抱えている課題は、下記の7つです。

1.国内市場は飽和状態であり、健康保険の抑制などで規模の拡大が見込めない。
2.国内市場規模に比較して、製薬企業数が多く競合が厳しい。
3.海外の大手製薬企業が国内市場に参入しつつあり、ますます競合が厳しさを増している。
4.現在の主力製品の特許切れがまじかに迫っており、ナイコメッドのような後発医薬品企業が市場に一気に参入し、収益確保が難しくなる。
5.海外市場は現在、主に欧米であり今後の市場拡大は難しい。
6.欧米の製薬企業は経営規模が大きく、国内企業は国内及び海外市場で厳しい戦いを強いられる。
7.新商品開発には、多額の投資(1製品で数百億円規模)が必要であり、国内及び欧米市場だけでは投資回収が難しい。など

この事態を解決するには、以下の方法が必要です。

A.国内以外の市場開拓(特に新興国市場)を行う。
B.多額の投資をしないで、製品数を増やす(例えば、後発医薬品など)
C.経営規模を大きくし、欧米大手企業と競合が出来る体力を作る。
D.新規大型製品は、他社と連携して開発し、負担を減らす。など


武田は、上記A~Cの手段をナイコメッドの買収により実現し、一挙に後発医薬品市場に参入する体制を確保しました。

A.の解決;ナイコメッドは新興国に販路を持っている。
B.の解決;ナイコメッドは後発医薬品専業。
C.の解決;ナイコメッドの買収により、経営規模は世界15位から10位に大きくなった。

今回の買収は、久しぶりに見る国内大手企業の大英断により鮮やかな経営手法です。

武田が買収したナイコメッドを上手く活用できれば、世界市場の大きな製薬プレーヤーになれます。

今後の経営展開や成果に注目していきます。
他の国内薬品企業にも大きな影響を与えると共に、一つの道しるべになると考えます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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