企業経営的視点からAmazon AWSのトラブルを考える - Webシステム開発・導入 - 専門家プロファイル

清水 圭一
日本クラウドコンピューティング株式会社 
東京都
IT経営コンサルタント

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清水 圭一
清水 圭一
(IT経営コンサルタント)
井上 みやび子
井上 みやび子
(Webエンジニア)

閲覧数順 2016年12月07日更新

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企業経営的視点からAmazon AWSのトラブルを考える

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クラウド関連サービス評価

皆さん、こんにちは。
日本クラウドコンピューティング株式会社の清水です。

今日はクラウドの信頼性をテーマにお話させていただきます。

先日、2011年4月21日に米Amazon Web Services(AWS)が運営する、クラウドサービス「Amazon EC2」などが障害の為、FoursquareやQuoraなどのサービスが停止するなど大きな影響があり、復旧が完了したのは同年4月24日でした。

以前、取り上げた通り、Amazonはインターネット通信販売で知られる会社ですが、そのシステムの余ったコンピューターリソースを、主に企業向けに貸し出しをするクラウドサービスを展開しています。

今回のトラブルで影響を受けたFoursquareやQuoraの他に、DropboxなどのサービスもこのAmazonが提供するAmazon EC2コンピューターリソース貸しサービスを使って運営されています。

あまり、公開はされていませんが、日本でも多くの企業がこのAmazon EC2を使って、さまざまECサイトや企業情報システムを構築しています。

Amazon EC2のトラブルの詳細については、他に詳しいIT関連のメディアが報じていますので、ここでは詳しくは触れませんが、ネットワークの構成変更作業ミスが引き金となったシステムダウン、つまりヒューマンエラーです。

このAmazon EC2のトラブルがきっかけで、クラウド、特にパブリッククラウドと言われる複数の相乗り型のクラウドサービスの信頼性に問題があるいう判断をする方やメディアが多くありますが、これは全くもって間違っています。

それでは、どのように自社にとって、そのクラウドサービスの信頼性を危惧し、他のクラウドサービスに乗り換えるか、自社でプライベートクラウドを構築するかという判断ポイントは、大まかに言えば、過去のクラウドサービスの稼動実績値から、そのシステムがダウンした場合の直接損害と間接損害額、そのシステム要件で求めうるシステム稼働率を満たすためのシステムの投資金額から算出するしかありません。

こうなると、多くの経営者や情報システム担当役員の方は、ますますその判断は難しくなりますし、この検討をするだけで、多くの時間が割かれてしまいます。

実際、このようなことを経営者や情報システム部など内部で行うことは難しく、当社のような外部の専門コンサルティング会社が、このようなシステム要件に対するクラウド事業者の選定や投資判断の調査、分析などのコンサルティングを行っています。

当社のコンサルティングで多くのお客様の分析をした結果、概ね従業員人数1000人以下の中小企業においては、一部の金融取引サービスのシステム、決済サービス、会計システムなどの基幹システム以外、すなわち、情報系システムと言われるメール、顧客管理、データウェアハウス、人事、給与システム、メール、グループウェアなどは、パブリッククラウドのサービスを使ったほうが投資対効果が高い場合が多く、また、実はシステム稼働率も、多くの場合、Amazon EC2などのサービスのほうが高い場合がほとんどです。

今回、Amazon EC2のトラブルは、トラブル解決までの時間が掛かった、事業者からの報告が遅いなどの不満などはあるかと思います。

しかし、このトラブルの内容は、何か重大なシステム欠陥があったという致命的なものでもなく、クラウドサービスに限らず、どんなシステムでも内在せざるを得ない問題がヒューマンエラーによって露呈してしまった問題であると考えるべきだと思います。

多くの方、特に日本では高い傾向にありますが、利用料金を払っているものに対しては、その金額の大小に関わらず、完璧なものを求める傾向があります。

確かに完璧には越したことはありませんが、ITの世界では残念ながら完璧なシステムなどはありません。

従来に比べればITシステムの信頼性は大きく向上してきていますが、それ以上にITシステムへの性能、機能的な要求、コストダウンの要求に応える為に高度化、複雑化しています。


つまり、完璧に近いシステムを望むのであれば、陳腐化した枯れたシステムを高い費用を掛けて使い続けるしかないのです。

例えば、社会保険システムや銀行の勘定系システムなどは、陳腐化した枯れたシステムを高い費用を掛けて運用しています。

しかし、そのトレードオフとして、その費用と不便さが利用者に圧し掛かってきているのです。

ですので、こういった一つのシステム障害で、感情的に優劣の判断をするのではなく、経営者にとって必要なことは、そのシステム障害の根本的な原因を知り、致命的なシステムではない限りは、システムの投資対効果、システムダウンがもたらす経営的なインパクトを総合的に判断していくことが重要なのです。

そして、こういった論理的な決定プロセスは、IT投資だけでなく、他のことにも応用できるかと思います。

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