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相続税の土地評価額の話

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相続税還付の現場では…

「相続税法」によると、ごく一部の財産を除き、財産の価額は「時価」によるものとなっていますが、実は、不動産における「時価」の定義を明確に記した法令等はありません。

様々な判例・裁決等に目を通す限り、将来的には、不動産の「時価」が「鑑定評価額」であると明文化された法令も増えていくものとは考えられますが、その「鑑定評価額」を算出するためには、「不動産鑑定評価基準」というものに則った評価を行う必要があり、それは法律上「不動産鑑定士」以外が行うことはできないことになっています。ですから、事実上、相続税の申告作業をする納税者や税理士が客観的な「時価」にて不動産評価を算出することはできません。

そのため、相続税の不動産評価は、実務上「財産評価基本通達」に定められた評価方法に則り行うことになります。

その「財産評価基本通達」に記載された評価方法は、あくまで納税目的のための評価方法に過ぎません。ですから、ごく一般的な土地を想定した画一的な評価方法となってしまうため、特殊な土地等については、不動産鑑定士による「不動産鑑定評価額」を使うことで大幅な評価減が見込めるケースがあるのです。

また、「広大地評価」のような減額特例の適用が微妙な土地については、不動産鑑定士による「評価意見書」が有効となるケースもあります。

 

以前、本コラムの「不動産鑑定士がいるという強み」の中にも書きましたが、税理士が知らない減価要因や、適用基準の判定が難しい減価要因がある場合において、不動産評価の専門である不動産鑑定士がチェックし、アドバイスできるということは、ある意味「最強」の相乗効果を生む可能性がある訳です。

実際に、安易な「広大地評価」の適用が危険だと悟った一部の税理士さん達も、相続税申告作業にあたり、不動産鑑定士の「評価意見書」を添付するケースも、たまに見受けられるようになりました。

では、これらのケースにおいて、相続税の申告業務は完璧にできているかと言うと、それがそうでもありません。

なぜなら、多くの税理士が不動産に強くないのと同様に、多くの不動産鑑定士も「相続税」に精通している訳ではないからです。最初にご説明した通り、相続税の不動産評価方法は、あくまでも実務上の納税額算出を目的に考えられた便宜的な評価方法であるため、不動産評価の専門家である不動産鑑定士は通常、使わない評価方法です。膨大な情報量を抱える「財産評価基本通達」を完璧に読みこなしている不動産鑑定士もほとんどいないのが実状ではないでしょうか。

また、すべての土地に関して「財産評価基本通達」で評価した方が納税者に有利なのか、「不動産鑑定評価額」の方が有利なのかをわざわざ試算するなんて、まず行わないと思われますので、結局は、税理士が個別に判断して依頼した不動産にのみ、不動産鑑定士が関与しているケースがほとんどです。

 

ただ単に資格を持っているというだけではなく、それぞれの専門家が自分の専門分野の垣根を超えた分野にまで踏み込んで、日々研究・勉強していくということも、互いの力を最大に発揮するための重要な要素だと思います。

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