ブログ(http://ameblo.jp/sachio-k/)の方で載せた記事をこちらにも掲載いたします。
固くないブログですので、ゆるい表現がたくさんありますが、あらかじめご了承ください。
~~~~~~~~~~~~以下本文~~~~~~~~~~~~~~~~~~
会計士制度改正の目玉で、何かと話題になっていた「財務会計士」の創設(2013年の導入予定)は
どうやら頓挫したようです。
おさらいをすると、
今、会計士業界には、合格者の増加と就職先の減少のアンバランスから、
会計士試験に合格しても就職できない、そして「公認」会計士になるための要件である
実務経験を積めないという、いわゆる就職浪人問題があります。
これを解決するべく、公認会計士(監査ができる)の下に財務会計士(監査はできない)なる資格を創設して、監査ではなく会計の専門家として、広く一般企業にも就職ができるようにすると目論んでいたわけです。
これは一時期、業界内で話題沸騰しました。
そんな資格作ったって、企業がこぞって雇うなんてことは起きない。
ニーズないから意味ない。
会計士補とどう違うんだ?
就職浪人問題は解決しない。
どこへ行ってもそういう意見が多数でした。
ところが、大量の批判の裏で、導入へのプロセスは確実に進んでいました。
そして、ここへ来ての導入困難報道。
えー!!
理由は「ニーズがないから」
いまさら・・・・。
~~~~ここからが本題~~~~~~~
私も、財務会計士創設は問題の解決には意味がないと思っていました。
でもちょっと待って!
一連の制度改正の一番最初は、一般企業や広く世間に会計の専門家を配備したいね、
っていうところから始まったよね?
どんな小さな会社(その他の組織も。)であっても、必ず「会計」というものがついて回ります。
現実は税金を計算するためだけの会計に終始することが多いにしても、
もし、適切な財務会計や管理会計の知識を持っている人が会社の会計を担当していたら、
もっと効率的にもっと的確に経営を捉える事ができるはずです。
日本経済にとって、プラスに働くことでしょう。
しかし、このような側面から会計を勉強できる資格は公認会計士試験しかありません。
(※もちろん、資格外での勉強はいくらでも可能。)
この勉強をして知識をもった人間が、広く社会に分散するメリットは大きいと思っています。
ところが、公認会計士は一部の大企業にしかいないという現実。
じゃ、数を増やそう!ってなって、
増やしてみたところ、こんなことになっちゃった。。。
私は、会計専門家を広く社会にばらまくという当初の目的は大賛成です。
だからこそ、
「会計士」というものをどうしたいのかを見直さなくてはいけないと思っています。
今まで通り、監査の色の濃い会計分野の専門家なのか、広く会計の専門家なのか。
会計士=監査人 という概念でいくから、
会計専門家を増やす=公認会計士を増やす=監査人が増える=余る
ということになるのであって、
会計の専門家を増やす方法が、公認会計士を増やすことだけにしなければいいんです。
そういう意味では、財務会計士は(ネーミングは最悪ですが)、
純粋に会計というものの専門家という位置づけの資格であれば、
広く社会に会計知識をバラまけるメリットがあるのではないかと思います。
大量に「会計士」が増えて質が落ちるというご意見もあります。
「公認会計士」になることを前提とした財務会計士が増えるようだと質も落ちるでしょうけど、
もともと監査と切り離した会計専門家を増やす分には、
既存の公認会計士の質は落ちないと思います。
就職問題だってそうです。
社会的には一部でしか活用できない「監査」というものをやらなきゃ社会的に広く活かせる「会計」の専門家になれないしくみだから、
特定の就職先しか選択できず、「余る」わけで。
純粋な会計の専門家であれば、それこそどんな組織も就職先になりえます。
これって、英語能力と同じで、会計というスキルを持っている分には、
重宝されるかどうかはわからないまでも、
少なくとも、持っていて損はないはずですし。
広く社会に会計知識をバラまくためにも、
もう一度原点に返って、制度改正を考えてもらいたいです。
★参考資料(過去の記事)
会計士新試験はホントに愚策か?
前編
http://ameblo.jp/sachio-k/entry-10604994146.html
後編
http://ameblo.jp/sachio-k/entry-10609863917.html
ちょっとアツくなっちゃった(笑)
このコラムの執筆専門家
- 岸井 幸生
- (東京都 / 公認会計士・税理士)
- LBA会計事務所 代表
社外から会社のビジネスを支えるプロ社外役員
顧問税理士以外で何でも相談できる人が欲しい、を提供しています。クライアントの皆様と夢を共有し、ビジネスに興味をもって最適なアドバイスを行っていくことが一番の貢献です。
このコラムに類似したコラム
逆風の中、挑戦してこそ~公認会計士試験出願数発表 岸井 幸生 - 公認会計士・税理士(2011/12/06 18:28)
公認会計士の合格率過去最低の6.4% 三瀬 宏太 - 税理士(2011/12/20 18:32)
平成23年度公認会計士試験合格発表 岸井 幸生 - 公認会計士・税理士(2011/11/14 12:55)
会計帳簿に関わる技術:簿記と財務分析 高橋 昌也 - 税理士(2023/12/17 08:00)
会計帳簿と公認会計士 高橋 昌也 - 税理士(2023/12/16 08:00)