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茅野 分
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市原 真二郎
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閲覧数順 2024年04月18日更新

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がんばろう日本!災害時に心身の健康を維持・向上する方法(12)

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  1. 心と体・医療健康
  2. 心と体の不調
  3. 疲れやすさ

(続き)・・ところで一般の人が被災地から離れているにも関わらず、被災者と類似の心理状態になってしまうのは、一種の「当事者体験」をしているからではないかと考えられます。当事者体験とは、あたかもその現場に居合わせているような、当事者さながらのリアルな心理的体験を意味します。今回の震災に即していえば、今まさに自分が津波の押し寄せている被災地に居合わせ、自宅や職場などが流されてしまったかのような心理状態になっているケースです。

 

そこまで極端な体験でなくとも、震災による被害の甚大さや被災者のおかれた悲しい境遇、原発事故の深刻さ、あるいは電力不足に伴う生活への悪影響などといった暗い現状を、あたかも自分に降りかかっている一大事のように捉えてしまうケースが少なくありません。そのような当事者体験は、自分こそがこの難局を乗り越えていこう、という責任感や気概を育む上では有効な態度ですが、実際には往々にして心理的に追い詰められ、心身の健全性を損ねる恐れが高くなります。

 

従って今回のような厳しい状況では、別の心理的な立場も持ち合わせていることが必要になりそうです。一つ挙げられるのは「傍観者体験」です。傍観者体験とは、現場より離れた立場から、他人事のようにその現場を眺めるという心理的体験を意味します。例えば震災に遭っている被災地や停電騒ぎに見舞われている自分の周辺を、あたかも離れた目線で他人事のように観察するのです。一見突き放したような冷淡な態度にも見えますが、覚えておいて損はない心理的な立ち位置です。

 

具体的に説明すると、一方では震災の厳しい現実に向き合う自分が居て、他方ではその自分を離れた位置から観察するもう一人の自分が居ると仮定します。「傍観者」であるもう一人の自分は、頑張っているものの壁にぶつかっている「当事者」としての自分を冷静に観察し、それとは違った見方や感情を提示してあげます。例えば「よく頑張っているね。今は大変でも、そのうち状況は必ず良くなるよ」などと声をかけて、当事者としての自分を温かく見守るのです。

 

傍観者である「もう一人の自分」は、現在の自分とは限りません。例えば子供時代の自分かも知れませんし、逆に10年後の未来の自分か知れません。例えば今、実際に苦しんでいる自分がいて、その自分から「10年後の自分」に問いかけます。「10年後の自分は今の自分を見て、どのように感じ、何とアドバイスしてくれるだろうか・・?」 もしかしたら10年後の自分からすると、今の自分は他愛もないことに苦しんでいるように見えるかも知れないのです。

 

この「もう一人の自分」は、誰か具体的な他人に置き換えても構いません。例えば既にこの世にいない自分の祖父や、自分がモデルにしている歴史上の人物などに置き換えてみます。「・・が今の自分を見たら、何と言ってくれるだろうか・・?」などと想像してみるとよいでしょう。逆に、「仮に自分が・・だったら、この難局をどのように乗り越えただろうか・・?」などとイメージしてみると、自分だけの考えでは堂々巡りだった解決策が、いとも簡単に見つかることもあるのです。

 

そのようにして一歩離れた立ち位置から自分および現実を眺めることができれば、かなり余裕をもって考え、行動することができるようになります。また苦しんでいる自分にも一種の「意味付け」をすることが可能です。つまり難局にあたって苦悩している体験は「将来きっと役に立つに違いない」とプラスに考えることができるのです。大災害のような一大事をうまく乗り切るポイントの一つは、苦しい現実と苦しんでいる自分をそのように少し離れた目線から見つめ、笑顔で過ごせるかどうかと言えそうです。

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