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河野 英仁
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米国特許判例紹介:ネットワーク関連発明の直接侵害成立要件(1)

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米国特許判例紹介:ネットワーク関連発明の直接侵害成立要件(第1回)

~BlackBerry事件を考慮したシステムクレームの権利範囲解釈~

河野特許事務所 2011年5月2日 執筆者:弁理士  河野 英仁

       Centillion Data Systems, LLC,

                        Plaintiff Appellant,

              v.

Qwest Communications International, Inc., et al.,

                  Defendants-Cross Appellants.

1.概要

 装置クレームの一種であるシステムクレームに対しては、被告のイ号システムが特許に係るシステムクレームの全ての構成要件を具備する場合に、直接侵害が成立する。

 

 ここでイ号システムの構成要件について、複数人が関与している場合に直接侵害が成立するか否か問題となる。特に被告のサーバコンピュータと、被告とは異なる第3者のクライアントコンピュータとにより構成されるネットワーク関連発明において頻繁にこの問題が発生する。

 

 例えば、クレームが構成要件1~4により構成されるところ、被告のサーバコンピュータが構成要件1~3を備え、一般ユーザのクライアントコンピュータが構成要件4を備える場合である。

 

 寄与侵害(日本でいう間接侵害)[1]が成立するためには、直接侵害の存在が前提となるため、被告に対する寄与侵害の主張は認められない[2]。そこで、特許権者は直接侵害か、或いは、被告と一般ユーザとの共同侵害を主張することとなる。

 

 後者の共同侵害が成立するためには、代位責任の法理に従い、被告がユーザを「管理または指示」していることが必要とされる。より具体的には、ユーザが被告の代理人(Agent)として構成要件4を実行しているか、または、被告とユーザとの間に構成要件4の実行を義務づける契約が必要とされる[3]。一般に、ユーザが被告の代理人であることは少なく、また被告とユーザとの間に実行を義務づける契約も存在しないことから、共同侵害が成立しないことが多い。

 

 本事件では、被告がシステムクレームの構成要件1-3を実行し、ユーザが構成要件4を実行する前提において、「使用”Use”」行為または「生産”Make”」行為に基づき、直接侵害が成立するか否かが争点となった。CAFCは直接侵害が成立しないとした地裁の判決[4]を無効とし、ユーザによる「使用」行為に基づき、直接侵害が成立すると判示した。

 


[1] 間接侵害に関する規定は米国特許法第271条(b)(c)である。米国特許法第271条(b)(c)の規定は以下のとおり

(b) 積極的に特許侵害を誘発した者は,侵害者としての責めを負うものとする。

(c) 特許を受けている機械,製品,組立物若しくは合成物の構成要素,又は特許方法を実施するために使用される材料若しくは装置であって,その発明の主要部分を構成しているものについて,それらが当該特許の侵害に使用するために特別に製造若しくは改造されたものであり,かつ,一般的市販品若しくは基本的には侵害しない使用に適した取引商品でないことを知りながら,合衆国において販売の申出若しくは販売し,又は合衆国に輸入した者は,寄与侵害者としての責めを負うものとする。

[2] Aro Mfg. Co. v. Convertible Top Replacement Co., 365 U.S. 336 (1961)

[3] BMC Res., Inc. v. Paymentech, L.P., 498 F.3d 1373, 1380 (Fed. Cir. 2007)、詳細は拙稿「米国特許判例紹介(第43回) 米国における共同侵害成立要件~成立要件は厳格化へ~」知財ぷりずむ、経済産業調査会2011 年2月号を参照されたい。

[4] Centillion Data Sys., L.L.C. v. Qwest Commc’ns Int’l, Inc., No. 1:04cv73 (S.D. Ind. Oct. 29, 2009)

(第2回へ続く)

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