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対象:心と体の不調

茅野 分
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市原 真二郎
(カイロプラクター)

閲覧数順 2024年04月24日更新

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がんばろう東北!災害時に心身の健康を維持・向上する方法(6)

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  1. 心と体・医療健康
  2. 心と体の不調
  3. 疲れやすさ

(続き)・・まず被災者の方々に対面した時の、周囲の人の関わり方について考えてみます。前述のとおり被災者は心に深い傷を負っており、しかも多くの場合は体調が悪かったり、生活上で大きな不便を強いられていたりと、様々な問題を抱えています。従って被災者に関わる医療職や自治体職員、ボランティアなどの関係者は、細心の注意をもって彼らとコミュニケーションを取る必要があります。ただ同じ被災者であっても、災害後のフェーズによって対応のポイントに一定の変化が生じます。

 

被災後のどのフェーズであれ一番大切なことは、被災者の心に「寄り添う」ことではないかと考えられます。被災者の多くは家族や家、財産、仕事などを失ってしまっており、言い知れぬ孤独感を抱いているため、関わる人はその傍らに寄り添うような気持ちが求められます。無理にアドバイスしたり励まそうとする必要はなく、傍らを離れず、そっとしているだけでよい場合もあります。また背中をさすったり手を握ったりといったタッチングも、状況によっては有効なケアになります。

 

そして被災者の語る話を「傾聴する」ことが大切です。被災者の方は尋常ではない体験をしており、また心身に抱えた不調や将来への不安など様々な問題を抱えているため、それを周囲に伝えたいという欲求を潜在的に持っています。その話に心を傾けて聴く、すなわち否定せず、評価せず、意見を挟まずじっくりと聴くことが肝要です。そのような関わり方をすることで、被災者本人が気持ちを整理し、少しでも前向きに考え行動できるようになることも少なくありません。

 

ただし被災直後の混乱期には、被災者は虚脱感のあまり、自分の体験を語りたがらないことも多々あります。特に見ず知らずの第三者に対しては、胸の内を明かすことがためらわれるものです。その場合は無理に話を引き出そうとせず、むしろ身の回りの不便な点などを聞き出すくらいの関わりの方がよいでしょう。例えば高齢の方が水を汲みに行くのが大変だといったら、一緒に手伝ってあげる、また寒いといったら、毛布をもう一枚持ってきてあげる、といった関わりの方が喜ばれるというものです。

 

子供は大人以上に不安や恐怖を感じやすいため、大人とは少し違った対応が必要になります。特に過剰な甘えやお漏らし、わがままなど退行現象が目立つ子供は要注意です。親や大人はできるだけ子供と一緒にいる時間をもち、抱きしめるなどのスキンシップを充分に行ないます。また不安や恐怖を感じるのは当然のことであると理解させます。外で遊ばせることがストレス発散になるほか、絵を描いたり歌を歌ったりすることで、心の中にある感情を放出させることも有効です。

 

さて少し時間が経過すると、避難所内では被災者同士の関わり合いが始まります。同じ地域で同じように被災した、という一種の連帯感が生じ、互いに助け合おうという相互扶助の精神が芽生えます。被災地に於けるこうした助け合いや感謝に満ちた態度や行動は、海外メディアからも称賛の声が上がっています。この時期には、被災者同士が互いの無事を確かめ合い、また互いの体験と感情を共有することによって、自分は孤独ではないのだという心の安らぎを幾分かは得ることが可能となります。

 

ただこのような幸福感を伴う連帯感は、長くは続かないものです。次第に避難所を離れる人が増え、避難所に留まる人は取り残されたような気分になり、一方で自宅や親類宅に移動する人も別種の孤独感を感じるようになります。そして被災による財産や仕事、コミュニティの喪失、生活立て直しに向けた様々な困難といった難題に改めて向き合うことになり、心休まる暇もありません。従って支援者は一時的ではない、物心両面にわたる恒久的な支援を続ける姿勢を示す必要があります・・(続く)

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