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対象:心と体の不調

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市原 真二郎
(カイロプラクター)

閲覧数順 2024年04月18日更新

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がんばろう東北!災害時に心身の健康を維持・向上する方法(5)

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  1. 心と体・医療健康
  2. 心と体の不調
  3. 疲れやすさ

(続き)・・以上のような身体面の健康問題だけでなく、震災の被災地に於いてはメンタル面の障害が大いに懸念されます。地震災害を限らず大災害や大事故などの悲惨な現場に於いて、被災者には様々な大きいストレスがのしかかり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ病、パニック障害などのメンタル不全がしばしば多発します。実際に1995年の阪神・淡路大震災に於いてはたいへん多くのPTSDの発症があり、十数年経過した現在でも、多くの方がその後遺症に悩まされています。

 

特に今回のような巨大津波による災害の特徴として、多くの被災者は家族や親類を失い、家や家財道具の一切を根こそぎ津波にさらわれ、また住み慣れた街がほぼ完全に廃墟となってしまったケースが非常に多くなっています。そのような場合、生活基盤や思い出の光景などがそっくりそのまま消滅してしまいました。従って被災者には、表現のしようのない喪失感や虚無感、将来への様々な不安、自分だけ生き残ったことへの罪悪感など、複雑かつ深刻な心理的トラウマが発生しやすくなります。

 

それだけでなく本震後も頻繁に続く余震によって、本震時や津波の到来時の恐怖感がよみがえり、辛い記憶がフラッシュバックされて様々な心身の反応が出現するケースも目立ちます。避難所や流出を免れた自宅での暮らしも、例年以上の寒さ、電気や水道などライフラインの途絶、食料や水、日用品、燃料の欠乏などにより非常に過酷な生活が続いており、また避難所が狭くてプライバシーが確保できない、自由が利かない、といったことも大きなストレス要因となっています。

 

特に小児の心に負った傷は深刻です。親や親類、友人などを亡くした子供は大きなトラウマを抱え、そうでなくとも不便で大変な避難所生活を、きわめて孤独で不安なものにしています。被災した小児に目立つ症状としては、夜泣きや夜尿、指しゃぶり、親への過度の依存、反抗的態度、感情鈍麻などが挙げられます。また小児に限らず被災者には、不眠、食欲不振、集中力の低下、動悸、現実感の喪失、フラッシュバック、過度の活動性、などといった辛い症状がしばしば現れます。

 

このような諸症状は直接の被災者だけでなく、場合によっては医療職や自衛隊員、消防士などといった支援する立場の方々、つまり2次被災者にも現れることがあります。特に自身やその家族が被災者でもある場合には深刻です。たとえ自分の家族の安否が確認できない、自宅や地域のことが心配という状況下であっても、職業上の責務や被災者からのニーズの高さゆえに、安易に被災現場を離れる訳にはいきません。ライフラインの途絶によって作業が捗らないことも大きなストレス要因です。

 

さらに被災現場から遠く離れた地域の一般住民にとっても、今回の震災で少なからず心理的トラウマを受けた人はたいへん多いと考えられます。実際に、震災後に眠れなくなった、イライラするようになった、食欲がない、などと病院を訪れる人が後を絶ちません。要因としては、テレビやインターネットなどで被災地の悲惨な状況がリアルタイムで流されていること、停電やガソリン不足などで直接の悪影響を受けていること、原発事故によって不気味な不安が蔓延していること、などが挙げられます。

 

すなわち今回の大震災によって、程度の差はあれ、被災者やその支援者、さらには国民の多くが心理的にトラウマを受け、メンタルヘルス上の大きな問題点を抱えているといえるのです。今後日本は、東北地方の被災地を中心として復興していかなければなりません。そのためには被災者はもとより国民全体がより健全に、より力強く活動していく必要があるといえますが、この大きな心の傷を癒し、心の健康を取り戻すためには、いったいどのようにすれば良いのでしょうか・・(続く)

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