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日経記事;『もうかる事業を売却、日立の変身』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月17日付の日経ビジネスWebサイト版に、『もうかる事業を売却、日立の変身 日立、黒字事業でも見切り』のタイトルで記事が掲載されました。
本記事は、日経ビジネス 2011年3月14日号152ページより 抜粋されたものです。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

私は、3月8日に日経記事;『二つのM&A案件(日立,テルモ)に見る集中と選択』に関する考察 のタイトルで記事を書きました。

この記事の中で日立の集中と選択の仕方に賛成しました。

日経ビジネスでは、中西社長に本売却についてインタビューしてその内容を抜粋してWebサイト上に掲載しました。

抜粋記事の内容は以下の通りです。

『日立製作所がハードディスク事業を約3500億円で売却する。手放すのは、中西社長自らが立て直した米国子会社。

黒字化した事業に見切りをつけた理由は何か。

日立製作所が売却するのは、完全子会社の日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)。売却先は、世界のHDD市場で30%のシェアを握る米ウエスタン・デジタルだ。
43億ドル(約3500億円)というのは、日立にとって過去最大規模の事業売却案件である。

日立GSTは、日立が米IBMのHDD部門を約20億ドルで買収し、自社のHDD部門と統合して2003年に作った会社。日立GSTの2011年3月期の売上高は5268億円、営業利益は572億円。
HDD市場におけるシェアは18%であり、米シーゲート・テクノロジーに次ぐ業界3番手である。

上場を目指すなど軌道に乗っていた日立GST。
なぜ黒字事業を売却するのか。理由は3つある。

1つは格好の買い手が現れたからだ。中西宏明社長は「今回の売却で、日立GSTの収支はトータルでプラスになる。ウエスタン・デジタルは日立GSTを高く評価してくれた」と話す。

売却によって現金35億ドル(約2900億円)の資金が手に入るなど財務改善が進む。ここで得た資金を、日立が今後の成長の柱に据える、インフラ関連などの社会イノベーション事業に注ぎ込める。

2つ目の理由は、将来のリスクへの備えだ。日立GSTが手がけるHDDは、日立本体が生産しているストレージ製品を作るための部品。「データ爆発」の時代でストレージ需要は今後も伸びると見られるが、いずれストレージもパソコンと同様にコモディティー化が進み、過当競争に陥る懸念がある。それに伴いHDDも価格下落に直面する可能性が高い。市況悪化に伴う収益の変動も激しい。

HDD事業を日立に売却したIBMは、今ではIT(情報技術)サービス企業に変貌を遂げた。日立も今後はHDDという部品単体の商売よりも、顧客ニーズに合わせたストレージ製品を提供するサービス分野に力を入れる。

中西社長は「(HDDは)標準化された部品であり、必ずしも日立内部から調達する必要はない」と言う。

3つ目の狙いは、聖域なき「選択と集中」を続けていくという意思表示だ。

今でこそ黒字を達成しているものの、日立GSTは設立してから2008年までは、赤字続きの“お荷物”会社だった。日立GSTを黒字化させたのは中西社長自身である。2005年6月から日立GSTの会長兼CEO(最高経営責任者)に就任したが、当時は日立の執行役専務・北米総代表との兼務で、同社を黒字化できなかった。2007年1月、同社の会長兼CEO専任になり、HDD事業の再建に注力。2008年に初の黒字化にこぎ着けた。

自身で立て直した事業の売却について、中西社長は「何のためらいもなかった。社会イノベーション事業の強化に必要な資金や人的リソースを確保するには、売却は重要な手段」と語った。

中西社長は日立本体の社長に就任後、グループ会社や各事業の収益性に目を光らせ、赤字分野に決断を迫ってきた。それができたのは赤字会社を再建した実績があったからでもある。。。』


今回の日立のHDD事業売却は誠に当を得たタイミングで行ったと考えます。

HDD市場は現在大きな市場規模を持っており、今後もパソコンやサーバーの設置台数の伸びに従って成長することが見込まれます。

しかしながら、中西社長が言われるようにHDD製品は今後コモディティー化;汎用化が進み、差異化が困難になり、価格競争に陥る可能性があります。
この様な市場で、勝者となるにはナンバーワンのシェアを取っていれば、競合企業が市場から撤退していけば、「残存者利益」を受けられます。

日立の場合、シェアは18%で、第三位であり、ナンバーワンのシェアを取るには相当な投資が必要となり、
技術力で差異化が可能ならば、シェア向上の可能性はあるが、コモディティー化が進む市場では難しいと考えます。


日立GSTは買収後赤字に悩まされてきましたが、最近立て直しに成功し黒字化出来ました。
黒字化したからこそ、売却するチャンスなのです。
黒字化するために様々な合理化が行われましたので、日立GSTは筋肉質の会社です。

買収希望会社にとって、現在の日立GSTは格好の買い物になります。

記事では、黒字化出来たのに何故売るのか?との疑問符がついていますが、黒字化出来た今こそ売却の絶好のタイミングなのです。
黒字企業と赤字企業では、企業価値に大きな差があります。


日立GSTは、買収後は赤字が続いていたので、買収金額の投資回収は出来ていません。
今回の売却で投資回収が出来かどうか判りませんが、買収後の負の連鎖を食い止める集中と選択が出来たと考えます。

中西社長の決断は正しいと考えます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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