- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
東北地方太平洋沖地震が発生してからもう4日が過ぎようとしています。
名称呼称の方は東日本大震災ということになってきたようです。
とにかく大変なことの数々が今もなお続いています。
この場を借りて被害にあわれた皆様に心からのお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々とご遺族の皆様には、深く深くお悔やみを申し上げるところです。
あまりのことにこの数日間は記事を書く気にもなれず・・
何を書けばいいのかもわからない・・
何をすればいいのかもわからない・・
とにかくTVの前で胃を痛くしている毎日です、たぶん多くの日本人がそうだと思いますが。
とにかく、今自分に出来ることを、やってあげられることを一つ一つ、一生懸命やっていこうと思っています。
私たち建築に携わる者達は長年の間、常に地震そして火事と闘って参りました。
阪神大震災・新潟県中越地震など大きな地震が起きるたびにその教訓を得て、構造や工法を見直し法律を改正し、耐震設計、新耐震設計、そして新々耐震設計と構造を強化し、さらにはかの姉歯事件などを経て根本的な欠陥などが起こりえないようするシステムづくりなどに取り組んでまいりました。
それらの取り組みにより、今の建築では震度6強までの地震については直下型の真上などでない限り、現場監理さえしっかり行わさせて頂ければ自信を持って絶対に大丈夫ですと言える建築を提供できるようになってきています。
火災についても住戸用自火報の義務化普及や個々の建材や防火設備などの防火性能の技術向上が進み、どんどん人命と財産を守るということにおいて進歩は進んでいます。
実際、今回の地震を見ていると、どの町を見ても倒壊した建物は少ないようです。
倒壊が見えるのは相当古い物・・
もちろん、まだはっきりとわかる訳ではないのですが・・
新しい建物はどれも無事建っている、そして多少古い建物なども耐震診断・耐震補強などの制度が浸透していたのでしょう、地震の大きさに比すれば、過去の大地震に比すれば、思いのほか倒壊した建物は少なかったように見受けられます。
ただ・・
津波。
そして火事。
倒壊せずに残っていた建物の間を濁流が駆け抜ける。
そのうちに濁流が1軒の家を押し流し、それが次の家を破壊する、その連鎖。
大きな船が流されて、あるいは流された倒木が建物にぶち当たる。
正直、こんな津波は現在の建築基準法においては想定されていませんし、我々も洪水や浸水、海辺であればそれなりの津波や高潮はもちろん検討しますがここまでは・・
さらに火事。
津波でびしょびしょに塗れているはずの、それどころかまだ水に浮いている建物が発火する・・
燃える・・
なぜだ?
どうすればいい・・
TVを見ながらそればかり考えています。
実際の所、たぶん無理です。
どんなにお金かけても・・
こんな巨大な自然の力に立ち向かおうなんて・・
それより防災とか避難とかそちらに力をかけた方がいい・・
技術には限界がある、いくらなんでも出来ないことは出来ない。
でも、そういってしまってはおしまい。
そんな風に尻尾を巻いて逃げるわけにはいかない。
我々はまた戦いを挑まなくてはなりません。
巨大な敵に・・
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