不動産の売買契約書は印紙税法で定められた課税文書であるため、印紙税が課税されます。
平成23年3月31日までの間に作成する1,000万円超の不動産売買契約書の印紙税額については、以下のような軽減の措置があります。
・1,000万円を超え 5,000万円以下のもの:1万5,000円(本則2万円)
・5,000万円を超え1億円以下のもの : 4万5,000円(本則6万円)
・1億円を超え5億円以下のもの : 8万円(本則10万円)
ところが、例えば「売買代金4,000万円の不動産売買契約」といっても、実際には印紙代について、次のような違いがあります。
(1)ひとつの契約における印紙代の総額が3万円の場合と1万5,000円の場合
(2)買主または売主が負担する印紙代が1万5,000円の場合、7,500円の場合、もしくは0円の場合
(1)については、「原本(課税文書)を2通作成するか1通作成するか」による違い、(2)は、「印紙代を誰が負担するか」による違いです。
まとめると、実際の不動産売買契約において印紙代の取扱いは次の3通りに大別されます。
・原本2通作成、印紙代各自負担
・原本1通作成、印紙代折半
・原本1通作成、印紙代一方負担
印紙税は「売買契約」ごとではなく、「売買契約書」ごとに課税されるため、契約当事者の一方が原本を、もう一方が写しを保管するとすれば、原本(課税文書)は1通となります。
また、原則として印紙税の納税義務者は、課税文書の作成者である売主と買主であり、連帯納税義務を負うものですが、売買契約書の約定として負担区分を定めていることが一般的です。
実務においては、中古住宅等の一般消費者同士の売買契約では上記の「原本2通作成、印紙代各自負担」、新築マンションや建売住宅等、売主が不動産業者の場合には「原本1通作成、印紙代折半」または「原本1通作成、印紙代一方負担」が採用されることが多いでしょう。
売買契約書の中であまり気にすることがない「印紙代」ですが、実は契約書の作成方法により負担額等に違いが出る部分もあるのです。
CFP®・不動産コンサルティング技能登録者 永田 博宣
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