2011年3月5日、日本経済新聞に「躁鬱病、初の治療指針」という見出しの記事が載りました。
この記事によると、日本うつ病学会が躁鬱病の初の治療指針をつくり3月10日に公表するとしている。これは、日本で学術団体が作成する気分障害のガイドラインとしては初めてのことで、画期的な出来事だと思います。
私は、今までカウンセリングの現場で数多くの気分障害の方々からの相談対応をする中で、本当に「医師によって処方が異なるなと」日々実感しておりました。しかし漸く指針が出ることで、今後の医療現場では今までよりも一層効果的な治療へと進むことが期待できます。できれば「躁鬱病」だけのガイドラインに留まらず、次は早期に「うつ病」のガイドラインが出ることも望んでいます。
本日(3月10日)、日本うつ病学会のサイトに行ってみると、確かに「日本うつ病学会ガイドライン 1双極性障害2011」がアップされていました。早速ダウンロードしてじっくりと見てみました。
そこでは、双極性障害の「躁病エピソード」や「大うつ病エピソード」に対しての、それぞれの薬剤のエビデンスと「最も推奨される治療」、「次に推奨される治療」、「その他の推奨されうる治療」、「推奨されない治療」などが具体的に記載されておりました。
また、そのガイドラインの中では、「心理社会的療法」にも言及されており、薬物療法と合わせて心理教育や精神療法などの有効性を認めております。これは、最初にガイドラインをつくった学術団体が推奨しているというとても画期的なことで、日本にも漸く薬物療法だけではなく、心理的なアプローチの有効性を広く認識するいい機会になると思います。
なぜかというと、欧米諸国では精神療法に対して様々なエビデンスがあがっており、ガイドラインにも、既に精神療法などの心理的なアプローチの有効性が認められていますが、日本の現場では、まだまだ蚊帳の外に追いやられている風潮を感じているからです。
ガイドラインの中では、「患者の障害は、生物的-心理的-社会的な要因からなる」とあり、今後益々「心理的」・「社会的」なアプローチが求められることになると思います。
このコラムの執筆専門家
- 見波 利幸
- (東京都 / 主席研究員)
- 主席研究員
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