米国特許判例紹介:米国における共同侵害成立要件(第4回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許判例紹介:米国における共同侵害成立要件(第4回)

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米国特許判例紹介:米国における共同侵害成立要件(第4回)

~成立要件は厳格化へ~

河野特許事務所 2011年4月13日 執筆者:弁理士 河野 英仁

   Akamai Technologies, Inc., et al.,
                     Plaintiff Appellant,
             v.
      Limelight Networks, Inc.,
                 Defendant-Cross Appellant.

3.CAFCでの争点

共同侵害の成立要件とは

 共同侵害が成立するためには、BMC事件で判示されたように、特許権者は、一の当事者が全体の方法を実施する上で他の当事者を「管理control」または「指示direction」していることを証明しなければならない。

 

 顧客側の処理に関しては、被告と顧客と間の標準約款に明確に規定されている。それによれば、

「顧客「すなわちコンテンツプロバイダ」は、現在の被告のプロセスを通じて、顧客コンテンツを被告により提供させるべく、顧客コンテンツの全てのURLを特定する責任を負う。

また、顧客は被告がコンテンツ配信サービスを導入するのに必須の協力及び情報を被告に全て提供しなければならない。」

 

 以上の契約に加え、被告は顧客に技術的なアシスタントまでも申し出ている。このような状況下で、被告の顧客に対する指示または管理が存在していたか否かが争点となった。

 

4.CAFCの判断

顧客が被告の代理人(agent)であるか、または、ステップの実行を契約上顧客に義務づけていることが必要

 共同侵害の成立要件としての「管理または指示」要件は2007年のBMC事件において判示された。以下BMC事件の概要を説明する。

 

(1)BMC事件

 BMC事件で問題となった特許はU.S. Patent No. 5,870,456(456特許)である。これらは暗証番号を入力することなく、金融決済を可能とするビジネスモデル特許である。参考図3は298特許の決済システムを示す説明図である。

 

参考図3 298特許の決済システムを示す説明図

 

 参考図3に示すように、本システムは、プッシュ式電話12、自動音声案内及び仲介処理を行うエージェント10、並びに、遠隔支払いネットワークであるデビットカードネットワーク20及び金融機関22により構成され、ユーザは電話のボタン操作により、リアルタイムでの決済処理を行うことができる。ユーザはエージェント10による自動音声案内に従い、支払い番号及び支払金額等をプッシュ式電話12により入力する。エージェント10は、入力された情報を、デビットカードネットワーク20及び金融機関22へ送信する。金融機関22は認証を行った後、決済処理を行う。

 

 298特許のクレーム6は以下のとおり。

6.(a)被支払人の代理人のシステムを介して、少なくとも一つの遠隔支払いカードネットワークに接続された電話回線網を用いた料金支払い方法であって、発話人は被支払人への自発的な支払い取引を開始すべく、前記電話機回線網を用いてセッションを開始するものであり、以下のステップを含む:

(b)発話人に対し、クレジットまたはデビットのいずれかの支払い番号を入力するよう促進する;

(c)発話人に支払い取引のための支払金額を入力するよう促進する;

(d)前記入力された支払い番号に関する遠隔支払いネットワークにアクセスする;

(e)前記アクセスされた遠隔支払いネットワークはセッションの間に下記決定を行う、

(f)支払い取引を完了するために、十分に利用可能な信用または金額が支払い番号に関する口座に存在するか否か;

(g)十分な信用または金額が存在すると判断した場合、

(h)入力された支払い番号の口座に対し入力された支払金額を課金する;

(i)入力された口座番号に関する口座(被支払人の口座)に入力された支払金額を加算する;and

(j)口座番号、支払い番号及び支払金額をシステムの取引ファイルに記憶する.

 

 BMC事件における被告は全てのステップを実施しているわけではない。被告、及び、金融機関を含むデビットネットワークにより共同で方法クレームを実施しているのである。例えば、クレームの一部の構成要件(e)(h)は被告以外のデビットネットワーク20が実施する行為である。

 BMC事件においては、複数の当事者が共同で方法クレームを実施している場合に、共同侵害が成立するか否かが問題となった。侵害が成立するためには、被告が方法クレームの全ての構成要件を実施していることが必要とされるのが原則である。その一方で、当該原則を貫くと、ある構成要件を、意図的に第三者に実施させることにより、直接侵害の責を逃れ得るという法の抜け穴が生じてしまう。

 

 CAFCは直接侵害に係る当該原則と、これに対する例外との法バランスを考慮した上で、被告及び第三者による共同実施に基づく直接侵害が成立するためには、

被告が第三者に対し方法クレームの各ステップの実施に関し管理または指示

 を行っていることが必要と判示した。

(第5回へ続く)

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