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米国特許判例紹介:米国における共同侵害成立要件(第1回)
~成立要件は厳格化へ~
河野特許事務所 2011年4月5日 執筆者:弁理士 河野 英仁
Akamai Technologies, Inc., et al.,
Plaintiff Appellant,
v.
Limelight Networks, Inc.,
Defendant-Cross Appellant.
1.概要
方法クレームについて直接侵害[1]が成立するためには、イ号方法がクレームの全てのステップを具備している必要がある。ここで複数の当事者が共同で全てのステップを実施した場合に、特許権侵害が成立するか否かが問題となる。
寄与侵害(日本でいう間接侵害)[2]が成立するためには、直接侵害の存在が前提となるため、寄与侵害の主張は認められない[3]。そこで、特許権者は共同侵害を主張することとなる。
共同侵害の成立性が論点となる事件が増加しており、CAFCで初めて共同侵害の成立要件が争われたBMC事件[4]では、一の当事者が他の当事者を管理または指示(control or direction)していた場合に、共同侵害が成立すると判示された。
本事件では、被告は特定のステップを実行させるために、複数の顧客に標準約款を提示し、詳細な説明と技術的な補助とを行っていた。しかしながら、CAFCは「管理または指示」の要件を満たすためには、これでは不十分であり、顧客が被告の代理人(agent)として当該ステップを実行している場合、または、顧客が当該ステップを実行することを契約上被告に義務づけられている場合に、共同侵害が成立すると判示した。
[1] 直接侵害に関する規定は米国特許法第271条(a)である。米国特許法第271条(a)の規定は以下のとおり。
(a) 本法に別段の定めがある場合を除き,特許の存続期間中に,権限を有することなく,特許発明を合衆国において生産,使用,販売の申出若しくは販売する者,又は特許発明を合衆国に輸入する者は特許を侵害する。
[2] 間接侵害に関する規定は米国特許法第271条(b)(c)である。米国特許法第271条(b)(c)の規定は以下のとおり
(b) 積極的に特許侵害を誘発した者は,侵害者としての責めを負うものとする。
(c) 特許を受けている機械,製品,組立物若しくは合成物の構成要素,又は特許方法を実施するために使用される材料若しくは装置であって,その発明の主要部分を構成しているものについて,それらが当該特許の侵害に使用するために特別に製造若しくは改造されたものであり,かつ,一般的市販品若しくは基本的には侵害しない使用に適した取引商品でないことを知りながら,合衆国において販売の申出若しくは販売し,又は合衆国に輸入した者は,寄与侵害者としての責めを負うものとする。
[3] Aro Mfg. Co. v. Convertible Top Replacement Co., 365 U.S. 336 (1961)
[4] BMC Res., Inc. v. Paymentech, L.P., 498 F.3d 1373, 1380 (Fed. Cir. 2007)
(第2回へ続く)
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