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閲覧数順 2016年12月10日更新

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日経記事『20年越しの超電導離陸(企業強さの条件)』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月9日付の日経新聞に、『20年越しの超電導離陸(企業 強さの条件)隠れた技術、利益に転換 第9部もっと投資を(4)』 のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『電気抵抗ゼロで大量の電流を送れる超電導ケーブル。量産準備を進める住友電気工業に世界中から注文が舞い込む。送電線やモーター、磁石などに用途が広がり、市場規模は10年後に約3兆円とされる。

1990年前後に名乗りを上げた数十社はふるい落とされ、同社が20年越しの開発競争を制した。だが開発を主導した技術フェローの佐藤謙一は「撤退すべきだとの議論は何度もあった」と振り返る。

同社は97年、収益予測や実現可能性などで開発テーマに優先順位をつける手法を米スタンフォード大から採り入れた。確実性は高まったが、一律に適用すれば超電導の開発継続は困難だったかもしれない。

撤退を回避させたのは経営陣を巻き込んだ徹底議論。「小粒の成果だけで成長を持続できるのか」。この議論が今度は投資の配分を変える。全テーマに調査予算を与えて担当者の裁量を広げ、長期の視点で再評価する仕組みを加えた。

同社は今、水処理や医療など新事業に挑む。超電導開発で分かったのは、技術革新の芽が社内に眠っていること。投資で息を吹き込み「既存事業の枠を超える」と常務執行役員の吉海正憲は意気込む。

原油高や株安で世界経済に不透明感が強まるほどに、技術革新の突破力に期待が高まる。世界知的所有権機構(WIPO)によると、2010年の特許の国際出願件数で日本は米国に次ぐ2位。技術革新の潜在力は世界最高水準にあるのに製品、サービスの競争力や収益力に直結しない。

ここに多くの日本企業の課題がある。潜在力を解き放つ資金の使い方とは。

「選択と集中は禁物。」半導体製造装置大手、アルパック会長の中村久三は研究開発部門の約600人に説く。それぞれが提案するテーマ全てに予算が付き、担当者が値を上げるまで開発が続く。

中村が社長に就いた96年、同社は倒産も噂されるほどのどん底。米社の低価格新製品が市場を席巻のをしり目に技術転換で出遅れた。新技術が組織の主流から生まれる保証はない。開発加速へ個々の能力を活用し尽くす。手を広げすぎて投資を無駄遣いする懸念もあるが、「早くからテーマを絞り込む方がリスクが大きい」と言い切る。。。』


メーカーにとって技術力・開発力は命です。
これがないと勝ち残れません。

技術開発には時間がかかります。
開発に要する時間と、事業化されるまでの企業体力維持とのバランスが、難しいのが実情です。

既存技術で飯を食っている間に次世代技術開発の仕込みを行なえれば、企業は勝ち残って行けます。
技術開発のスピードは、海外企業との競争を制するためには、従来以上の速さで行わないと競合先に先をこされてしまう可能性があります。

このような状況下で製造メーカーが勝ち残っていくためには、どの技術テーマの開発を行うかの選択が重要になります。
この選択眼は、その企業の技術屋の能力によります。

しょうしょうきつい言葉で言いますと、一流の技術を開発出来るエンジニアがいるかどうかでその企業の開発力は決まります。
記事に書かれていました住友電気工業やアルパックは、技術系経営陣が開発行為を引っ張っています。一般的に経営陣の中に優れた技術屋がいますと、潜在力のある開発案件に対する目利きが出来ます。

また、潜在力のある技術シーズを育てるには、エンジニアが開発行為を行いやすい環境かどうかも大事な要素です。
一時期、国内製造業は生き残るために大規模なリストラや合理化を行いました。この時に、優秀やエンジニアがリストラされたり、成果が見えないと判断された開発案件が中止とされました。

不況下で生き残るためには必要な手段だったかもしれませんが、安易にこの「集中と選択」を行った企業の技術開発力は落ち込んだと考えます。
また、この時に優秀なエンジニアや技術が韓国や中国に移ったとされています。

この「集中と選択」を行うには、技術的なメリハリが必要です。
言いかえると技術の目利きを行って、残す技術案件を選択することが大事なのです。

一流でない技術屋上がりの経営陣が行うのは、単純な物差しで残す案件を安易に決めるやり方です。
例えば、「一律に今後3年で成果がでなければ止めにする」的な物差しです。これは潜在技術の重要性を判断する必要のない簡単なやり方です。

四半期ごとや毎年の経営数字で評価する米国流のマネジメント方式を採用する製造業が多数存在します。それらの中には、経営管理にたけた経営陣が主流な企業では短期的な物差しで開発案件の継続可否を決める傾向があるようです。

「集中と選択」は大事な行為です。
技術シーズをどう評価し、選択していくかメーカーの力量が問われます。
勿論、既存技術でのもうけ度合いや資金力、市場の状況、競合他社の動向などの複合要因とのバランスで考える必要があるのは言うまでもありません。

特に中小製造業の場合、技術開発力が問われます。
通常、経営陣が技術屋である場合が多く、当該経営者の技術力が企業のパワーになります。
「集中と選択」は何時も行われています。

技術開発力を持っていても資金が無いため、選択した技術開発案件の継続が困難になる中小企業が多いのが実態です。
我々は、専門家チームを作ってこのような中小企業を支援しています。国や自冶体の補助金なども活用していますが、十分ではありません。

金融機関の中で、技術の目利きをして潜在力のある開発案件に低金利で融資してくれるところがあれば、勝ち残れる企業も多いのですが、実情は厳しいです。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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