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日経記事;M&A2案件(日立,テルモ)に見る集中と選択 に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月8日付の日経新聞に、下記二件の記事が掲載されました。

『日立、HDD事業を世界最大手に売却』
『テルモ、米で大型買収、米医療機器会社の買収発表 2100億円 』

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立、HDD事業を世界最大手に売却

日立製作所は世界3位のハードディスク駆動装置(HDD)メーカーで、全額出資の米子会社を世界首位の米ウエスタン・デジタル(カリフォルニア州)に売却する。
売却額は約40億ドル(3000億円強)。

2003年に買収した米IBMのHDD部門が母体で、昨年11月には株式を米国市場に上場する準備を始めると発表していた。日立は収益変動の激しい市況型事業を本体から遠ざける戦略をHDDでも実行し、経営資源を主力の社会インフラ事業に振り向ける。

日立は2003年に約20億5000万ドルでIBMのHDD部門を買収。日立の同部門と統合し日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)を発足させた。

HGSTは07年12月期まで5期連続の営業赤字が続くなど苦戦。リストラ効果などで10年12月期の営業損益は572億円の黒字だったものの、ノートパソコンなどの需要動向次第で今後も市況変動が避けられないと判断した。。。』


『テルモ、米で大型買収、米医療機器会社の買収発表 2100億円

テルモは7日、米医療機器メーカーのカリディアンBCT(コロラド州)を買収すると発表した。
買収額は26億2500万ドル(約2150億円)。買収でテルモは輸血関連事業の売上高で世界首位になる。カリディアンが持つ採血技術や顧客基盤を獲得し、世界的に拡大する輸血需要の取り込みを強化する。

カリディアンに全額出資するスウェーデンの大手医療機器メーカー、ガンブロからカリディアンの全株を取得する契約を結んだ。4~5月に買収手続きを終える予定。手元資金に加え、銀行からの借り入れで買収資金を調達する。

テルモは輸血用の血液を採取する事業を手掛けているが、2009年度の事業売上高は240億円と世界5位。カリディアンの売り上げを加えると約700億円とトップになる。
同日都内で記者会見した新宅祐太郎社長は「輸血関連分野のグローバルリーダーとして成長を加速させる」と説明した。

カリディアンは成分別に輸血用の血液を採取する技術も持つ。カリディアンの技術や事業基盤を獲得することで、高齢化で治療での輸血需要が拡大する先進国に加え、医療サービスの向上が進む新興国でも輸血関連事業を強化する。

国内の医療機器メーカーによる大型の企業買収では、オリンパスが08年に9億3500万ポンド(当時の為替レートで約2100億円)で傘下に収めた手術器具メーカーの英ジャイラスがある。テルモの米社買収は国内の医療機器分野では過去最大級になる。。。』


上記2件を含めて、最近国内企業は集中と選択を短時間に行うために、M&Aを積極的に行っています。
不採算部門からの撤退と、新規事業分野の強化が目的となります。

何れのケースも、自社の得意分野に経営資源を集中し、専門性を高めて他社との差異化を明確にして勝ち残る戦略です。
出遅れ感のあった国内企業が積極的な動きを加速しており、好ましい状況です。

日立の場合は、一旦自社のコア事業の一つにしようとして強化したHDD事業を8年で見切りをつけ売却します。
多分IBMから購入した資金を含めて投資回収は出来ていないと推測します。
しかし、HDDのような不安定な市場で自社が圧倒的なシェアを取れていない事業は、集中と選択の候補となるべきもので、日立の経営判断は正しいと考えます。

日立は、原子力などを核とした社会インフラ事業に経営資源を集中させています。
また、医療機器などの分野では日立メディコが今年中にアロカを完全子会社化するなど、専門的に伸びそうな事業分野では集中投資を行っています。

日立の動きは国内大手企業が積極的に動いている表れです。


テルモは、今後の伸びが期待されています医療機器で事業規模を大きく伸ばす戦略を取っています。

テルモは、心臓カテーテル市場では大手企業です。今回の買収はもう一つの成長エンジンとして輸血関連事業を取り込み世界市場で売っていく足場確保を目指したものです。

現在、主力事業を新規に短時間で確保する典型的な戦略であり、このやり方は正しいと考えます。

医療機器市場は大きく伸びています。この市場の特徴は、治療の目的や用途によって細分化していることです。医療機器全体でグローバル企業になることは意味がなく、各々の細分化された分野でシェアを拡大し、ナンバー1になることが勝ち残る条件です。

このナンバー1の位置を獲得するために多くの企業がM&Aを活発に行ってきました。
例えば日本の医療機器メーカーではオリンパスが2010年に入ってから肺治療用の内視鏡を開発する米ベンチャー企業を買収しました。
上記しました様に日立の子会社である日立メディコは今年、アロカを完全子会社にするなど、グローバル事業拡大にまい進しています。

日立とテルモの動きは、集中と選択を世界市場で積極的に行い、専門性を高めながらグローバル企業としての差異化を行い勝ち残っていくやり方です。

他の大手企業も同様な動きを行っており、国内企業の更に積極的かつ迅速な対応に期待します。
大手企業が活発に動くと、関連市場で事業を行っています中小企業にも新規事業機会が生まれます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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