- 東島 鋭
- 一級建築士事務所 東島鋭建築設計工房
- 大阪府
- 建築家
対象:新築工事・施工
コールドジョイントとは、コンクリート工事時に起きる施工不良の一つです。コンクリートはミキサー車で運ばれてきたものを順次打ち込んでいきますが、打ち継ぎ時間やバイブレーターのかけ方が適切でない場合に、打ち込むコンクリートが先に打設されたコンクリートと一体化せず、構造的弱点をつくる原因となります。(コンクリートを計画的に打ち継いだ部位はコールドジョイントではありません)
コールドジョイントが発生する主な原因の一つは、現場のコンクリート打設計画に甘さがあると思います。ポンプ担当者とバイブレーター担当者がその場で打設場所を決めているような状況は論外で、打設量、作業人数、天候、現場の状況等を考慮して計画すべきです。
交通事情などにより余程ミキサー車が遅れないかぎり、適切なバイブレーターの掛け方をしていればコールドジョイントを防ぐことは難しくはありません。バイブレーターの先が前に打設したコンクリートに10cm程入るように掛けていきます。
コールドジョイントを放置しておくと、水が浸入したりコンクリートの中性化を内部から促進するなど鉄筋を腐食させる原因となり耐久性を低下させかねませんので、その程度に合わせて適切な補修をしておきます。軽微なものの場合はポリマーセメントペーストをはけ塗りしておきます。ひどいものはコールドジョイント部をはつりシーリング剤を充填した後ポリマーセメントモルタルを塗っておきます。
補修方法は難しいものではありませんが、一番問題になるのは施工者の意識です。コールドジョイントは施工不良ではないと捉えている施工者も少なくありません。『施主さんをむやみに不安がらせるようなことは言わないでください』と逆に注意されたこともあります。特に住宅の場合、施工者は施工後のクレームには過敏になっている反面、基礎などの目に付きにくい部位に関しては意識が緩慢になっていることが少なくないように感じます。
冒頭で書きましたが、コールドジョイントは施工不良です。
施工不良はきっちり補修してもらいましょう。
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