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日経記事;『富士フイルム、バイオ医薬事業買収』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月28日付の日経新聞に、『富士フイルム、米メルクからバイオ医薬事業買収 400億円、成長分野で大手を追撃』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『富士フイルムは製薬世界2位の米メルクから、がんなどの治療に使うバイオ医薬品の製造事業を買収する。約400億円を投じ、3月末をめどにメルクの子会社2社の全株式を取得。

研究中のがん治療薬を自社で生産する体制を整え、高い成長が見込まれるバイオ医薬品で製薬大手を追い上げる。異業種の大手企業の本格参入により、成長分野を巡る競争に拍車がかかりそうだ。

メルクの全額出資子会社、英MSDバイオロジクス(ビリンガム)と米ダイオシンスRTP(ノースカロライナ州)を買収する。ヒトの免疫機能を生かした抗体医薬品などのバイオ医薬品を専門につくる受託生産会社で、売り上げは合計130億円程度。
この分野の受託生産会社としては合算で世界4~5位の規模とみられる。

バイオ医薬品は微生物や動物の細胞を用いて生成するため、安定した品質を維持するには高度な生産技術が必要。富士フイルムはノウハウを豊富に持つ2社の買収により、早期の生産体制構築を狙う。

コラーゲンを使う写真フィルムなどの生産技術を応用して競争力を高め、グループで開発する治療薬のほか、外部からの受託生産も拡大。製品の供給体制を整備し、世界で販路開拓を進める。

富士フイルムは2008年に富山化学工業を買収し、10年に三菱商事、東邦ホールディングスと共同で後発医薬品の開発・販売に乗り出すなど、医療・医薬事業の育成を進めている。医療機器を合わせた同事業の10年3月期の連結売上高は約2600億円で、19年3月期までにこれを1兆円に増やす目標を掲げる。

バイオ医薬品では06年にベンチャーのペルセウスプロテオミクス(東京・目黒)に資本参加し、その後子会社化。同社が研究中のがん治療薬は2~3年後に臨床試験に入る予定で、生産体制の整備が課題となっていた。

バイオ医薬品は化学合成でつくる従来の薬と比べ、副作用を抑制しやすいなどの特長を持つ。英調査会社によると09年の世界市場は1170億ドル(約9兆5400億円)で16年には1890億ドルに拡大する見通し。医薬品全体に占める割合も17%から23%に上昇するという。

製薬大手による大型買収も相次いでおり、今年2月には仏サノフィ・アベンティスが201億ドルで米ジェンザイムを買収することで合意。日本勢も武田薬品工業が米ベンチャーを買収するなど強化策を打ち出している。異業種の富士フイルムが攻勢を強めれば、こうした再編の流れが加速する可能性もある。』


富士フイルムはバイオ市場を新規成長分野としてとらえ、積極的な投資に出ているようです。
これはこの成長市場で世界企業が積極的に新規投資を行っており、競合他社との競争に勝ち抜くために経営戦略の実施を急いでいるためです。
具体的には、短期間で自社事業基盤を強化できるM&Aを行ってバイオ医薬品の生産体制構築を狙っています。

バイオ医薬品は、以下のように定義されています。

・(日経新聞から)
ヒトが体内に持つ成分を応用した医薬品の総称。遺伝子組み換え技術や細胞の培養など、最新のバイオ技術を使ってつくる。異物を排除するヒトの免疫機能を応用した抗体医薬品が代表的で、がんや関節リウマチの治療薬が実用化されている。抗体医薬品は標的の異物にだけ作用して正常な細胞を傷つけないため、一般的に副作用が少ない

・知恵蔵2011の解説からの抜粋;;( 川口啓明氏 科学ジャーナリスト / 菊地昌子氏 科学ジャーナリスト )
組み換えDNA技術、細胞融合法、細胞大量培養法などのバイオテクノロジーで製造された医薬品。
(1)組み換えDNA技術によるたんぱく質性医薬品(ホルモン、酵素、抗体など)、
(2)遺伝子治療に用いる遺伝子組み換えウイルス、
(3)培養皮膚などの細胞性治療薬、
(4)RNAやDNAの断片そのものを用いる核酸性医薬品など。


バイオ医薬品は市場も技術も発展途上であります。従いまして、上記のように自社にない技術を取り込む目的のM&A(合併・買収)や異業種参入が起きやすい状況になっています。

現在、医薬品の世界売上高上位10品目のうち、バイオ医薬品はすでに5品目を占めている。関節リウマチ治療薬「レミケード」や抗がん剤「リツキサン」などで、最も売上高が大きいレミケードの年間販売額は71億ドル(約5800億円)だ。ただ5年後にはトップ10のうち8つがバイオ医薬品になるとの観測もある、とのことです。

バイオ医薬は、半導体と同様に開発・製造・販売までの全ての事業プロセスを自社で持とうとすると大型投資が必要であり、且つ、次から次に出て来る競合他社からの新商品に対応するために、1社で全てを行おうとすることは困難です。

富士フイルムは、バイオ医薬品の製造に特化して基盤固めを急いで起こっているのです。
他社を見ますと、国内薬品メーカーでは武田薬品工業やアステラス製薬が抗体医薬品の生産設備の整備を急ぎ始めています。

富士フイルムのような異業種から、韓国のサムスングループが新薬開発支援の米クインタイルズ・トランスナショナルと共同出資で新会社を設立し、製造受託に参入する方針を発表しています。

このように異業種を含めて競合他社が増えると技術革新のスピードが上がると共に、市場も拡大します。
測定技術、センサー技術、精密加工技術などある特定分野で圧倒的な技術力や開発力・製造力を持つ国内の中小企業にも大きな事業機会が生まれます。

中堅や大手企業と直接競合しない関連分野で開発・製造・販売を行って事業化し、収益を上げていきます。
また、中小企業同士で、開発、製造、販売を分担して連携を組んで事業する方法もあります。既にこのような先端分野において中小企業間による連携も活発に行われ始めています。

ニッチな市場でも国内から海外を見据え、輸出をしっかりと行、海外市場を開拓する事業のやり方が重要です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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