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服部 真和
服部行政法務事務所 ギター弾き行政書士
京都府
行政書士

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対象:企業法務

村田 英幸
(弁護士)
村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月06日更新

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責任や保証などの規定は重要

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IT企業の法律 契約について

前回、「IT企業の契約問題」について書き始めましたが、今回はこれを具体的に挙げてみたいと思います。

従来より存在する「モノ」の製作に関する取引においても必要なことではありますが、IT企業の場合、それ以上に取引の目的物、いうなれば売ろうとする製品に対する保証や、これらに有する欠陥に関する規定は非常に重要となります。また、これらに関してのベンダーの責任の範囲も契約時に明確にしておかなければなりません。
ソフトウェアにしろ、Webコンテンツにしろ、ベンダーは提供するシステムがユーザーの期待通りにきちんと動作することを責任を持って保証しなくてはなりません。どの程度までがユーザーの期待通りなのかについては事前の設計書や仕様書などで規定されたものとなることが多いですが、既にパッケージされたソフトウェアの場合は、取引時に添付した製品の案内書やカタログなどから推定できる以上のクオリティが求められます。
この予定された水準を製品が備えていない状態であれば、ユーザーは製品に欠陥があると判断します。これを民法では「目的物に瑕疵がある」という表現をします。


例えばソフトウェアのプログラム上にバグが存在するとか、事前の設計書、仕様書の内容からシステム基準が不足している、製品の使い勝手が当初の仕様よりも明らかに劣っているなどです。
このような製品に瑕疵がある場合、民法上では「債務不履行」と「瑕疵担保責任」という二つの側面からベンダー側に責任を取るよう規定しています。
「債務不履行」による責任としては、本旨に従った履行または製品の修補を追及されます。簡単に言えば「ベンダーはユーザーに対してきちんと本来の製品を提供せよ」ということです。ただし、ベンダー側になんらの過失もない場合には責任を負う必要はありません。
また、これは契約を交わした時点で発生するユーザー側の履行請求権ですから、製品の瑕疵があることについて、ユーザー側も帰責事由があったか否かは関係ありません。
ただし、ユーザー側の帰責事由がある場合は、ベンダー側も契約解除や損害賠償請求を行いうるのですが、そうでない場合はまず、きちんと本来の製品を履行すれば良いことになります。


「瑕疵担保責任」についてですが、これは無過失責任と呼ばれるもので、ベンダーに過失があったか否かは問わず責任を負わされます。通常ユーザーは納入された製品に瑕疵があることを知った時から1年以内ならばベンダーに対し、損害賠償の請求ができるという権利を有しています。また瑕疵のために契約の目的を達することができないときは、契約を解除することもできます。これはベンダー側が製品に瑕疵があることを知っていようが、いなかろうが関係ありません。

これら二つの責任を踏まえながら、ベンダー側は責任の内容や範囲を明確にしておかなければなりません。あらかじめ損害賠償の上限額や責任発生時にとるべき行為などを定めておかなければ、ソフトウェアに対して生じた損害の範囲が明確とならず、非常に高額な損害賠償責任を負ったり、請求された損害額が不当である旨を明らかにするために、多大な費用と時間を費やした裁判を行わなければならなくなったりします。
ソフトウェアの場合、ユーザーだけでなくユーザーの提供するサーバーなどを介して第三者などが同様に損害を負い、これらの損害を合わせてユーザーの損害の範囲に加えられる可能性も否めないのです。

またソフトウェアを開発したベンダーからすれば保証の対象外のつもりでも、ユーザーからすれば、保証の対象内であるはずだと認識しているケースも多く、場合によればユーザーがベンダーの本来予定していた環境より劣るシステム環境でソフトウェアを使用したことが原因で発生する損害なども考えられます。
これらすべてについて、くどいほど明確に保証の対象範囲や条件、責任を取る範囲の瑕疵の内容や、その行為、賠償額などを規定しておく必要があるのです。

 

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