日経記事;総合電機から脱却, 安定収益の事業を選択 に関する考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:事業再生と承継・M&A

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;総合電機から脱却, 安定収益の事業を選択 に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 事業再生と承継・M&A
  3. 事業・企業再生戦略
経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月20日付の日経新聞に、『総合電機からの脱却、なぜ必要? 安定収益の事業を選択 フィリップス社長兼CEO ジェラルド・クライスターリー氏に聞く 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『欧州電機大手のフィリップス(オランダ)が事業の集中と選択により、収益構造を一変させた。液晶パネルや半導体などの事業から撤退し、医療・照明・家電の3事業に絞り込んだ。10年間にわたり改革を先導し、4月に退任するジェラルド・クライスターリー社長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。

―10年前と現在では会社の姿が大きく変わった。

「私が社長に就任した時、フィリップスは日本にもあるようなユーザー向け製品と半導体などの電子部品を同時に手掛ける総合電機メーカーだった。両事業の性質は全く違う。部品事業では大量生産のノウハウや生産技術がカギ。投資家の観点から見ても、収益の波が激しい事業だ。

一方、最終製品・サービス事業はブランド管理や市場開拓戦略が中心。利益も比較的安定している。

性質や方向性の異なる2つの事業を同時に抱えることは効率的なのか。そこで選択をした。わが社は、「健康と安らぎ」をキーワードにフィリップスブランドをユーザーに届ける企業になる、と。

半導体や液晶パネルは売却し、その資金で医療機器や照明関連の企業を買収した。2000年時点で7つあった事業は3つに集約された。」

ー改革には抵抗が伴う。

「選択と集中を実行する際、トップは売却対象事業の社員も明確な展望を持てる様にする必要がある。
簡単に切り捨てるわけにはいかない。

液晶パネルの売却は韓国LG電子ととの共同出資会社という形を取り、全株式売却に10年かけた。
06年に分離した半導体事業も、一定比率持ち続け、昨年全て売却した。

両社で元社員が活躍している姿を見ると、改革の進め方が正しかったと確信している。」

ー改革後のフィリップスは強くなったか。

「08~09年の経済危機を乗り越え、07年に設定した“10年に事業利益10%”という目標を達成できた。

健康関連に事業を絞り込んだからこそ新興国の勢いを取り込み、危機後に迅速に事業が回復した。
部品事業を抱えたままなら、相当に困難な状況に陥っていた。」

ー新興国の売上比率は3割に達した。

「15年には4割にする。経済成長を考えれば、5割を超えるだろう。新興国戦略は地域の事情に合った製品開発がカギ。今後も現地企業の買収は続ける。

資本支出の5割はM&Aに費やす。高齢化が進む日本も重要な市場だ。日本企業の買収には今後も関心を持ち続けるだろう。」。。』


フィリップスは、1995年過ぎから積極的に事業拡大のため、積極的にM&Aを行ってきました。
その経営姿勢に変化が見られ始めたのは、2000年以降です。2000年前半には、集中と選択を行い始め、2000年後半に活発化させていました。

この2000年代の集中と選択をリードしたのが、クライスターリー氏です。

先進国地域で経済が成長し、市場拡大が続いていた時は、大手家電メーカーは、そろって部品や関連事業などを積極的に取り込み内製化して、最終製品とのシナジーを出して、部品でも最終製品の双方を強化できる総合家電メーカーを目指すのが大手企業の共通戦略でした。

規模の拡大で、市場の川上から川下まで全ておさえることで他社との競争に勝つ戦略です。
市場が拡大していましたので、シェアが低いメーカーでも生き残れました。

逆に、市場が縮小し始めると当該市場で大きなシェアを取っていない企業は、固定費をカバー出来る売上確保が出来なくなり、赤字に陥ります。

国内の家電メーカーもこの問題に直面し、大規模な集中と選択やM&Aを行っており、多くの企業がまだ続行中です。

フィリップスも同じ状況でした。
私は、フィリップス本社を何度か訪問しました。国内企業と同じ雰囲気を持った企業だと、初めて訪問した時感じました。

2000年代後半から集中と選択が加速し、儲からない或いは先行きが見えない事業は、売却されていきました。
国内メーカーよりは、早くから集中と選択を行っていた、との印象を持っていました。

クライスターリー氏のコメントの中で印象的なのは、「ユーザー向け製品と半導体などの電子部品の両事業の性質は全く違う。部品事業では大量生産のノウハウや生産技術がカギ。」と言っていることです。

フィリップスは、今も昔も大量生産を低コストで行う技に秀でていないと思います。
市場拡大には、フィリップスのスピードでも部品事業が出来ました。

今は、市場拡大が再び始まりましたが、顧客は高性能付部品をより安く提供するように要求しています。
競合他社はこの業界で専門メーカーとして勝ち残って来た強力企業です。
このような事業環境下で、スピードやコスト競争力で劣る企業は生き残れません。

事業環境が大きく変わってしまったのです。

苦手な事業から撤退し、得意分野に経営資源を集中させるのが「集中と選択」であり、正しい方向だと考えます。
フィリップスが国内企業と異なるのは、売却しながら新分野を強化するため買収を積極的に行っていることです。
この点は国内企業が参考に出来ると考えます。

クライスターリー氏は近々に英ボーダフォンに移るようです。
フィリップスの集中と選択に一区切りついたと判断されたのでしょうか。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム

このコラムに類似したコラム

日経記事;"(社説)抜本的出直しを迫られる日本の電機産業"考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2012/11/02 09:48)

日経記事;"オリンパス、生産拠点を4割削減 医療などに集中"考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2012/06/09 11:29)

日経記事;"パナソニック、本社人員半減 次期社長が実施"』考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2012/05/29 07:10)