(続き)・・さて、そのように野菜や果物にガンを抑制する効果があることは分かりましたが、そうはいっても毎日のように浴びるほど野菜ジュースを飲み玄米ご飯を食べ続けるというのも、実際には大変かも知れません。たまには肉やてんぷら、ケーキなどのご馳走を食べたいのも人情というものですし、社会人としてのお付き合いもあながち無視できません。そこで、日常的にほどほどのご馳走を食べながらでも効率よくガンを抑制するような、強力な食材というものはないのでしょうか。
正直言って、これさえ食べていればガンを確実に抑制できる、といった夢のような食材は存在しません。やはり様々な食材を取りあわせて食べるというのが食事療法の王道です。ただし抗酸化力や免疫賦活力を高める成分のとりわけ高い食材というものは、いくつか存在します。日常的な食材として代表的なものに、ニンニク、キャベツ、ニンジン、ブロッコリー、タマネギなどが挙げられます。これらはその気になれば、毎日でも食べることのできる食材です。
それから最近注目されている食材として、キノコ類と海藻類が挙げられます。キノコにはβグルカンという物質が多量に含まれ、血液中のリンパ球を増やして免疫力を高めることが分かっています。また海藻にはフコダインというヌメリの成分が豊富に含まれますが、これはインターロイキンという免疫賦活物質を増やすとされています。どちらもサプリメントとして商品化されており、一部の大学病院など医療機関で臨床応用されています。
日本では採取できない食材ですが、沖縄やハワイ、タヒチなど熱帯地方で採取されるノニという果実が注目されています。果実そのものは熟すと悪臭がするので忌避されていますが、発酵させてジュースにすると美味しくなります。タヒチ産は特に品質に優れ、イリドイドという成分が桁外れの抗酸化力、免疫賦活力をもっています。米国のジョン・ホプキンス病院では1500人余りのガン患者にタヒチ産ノニを投与し、69%に効果があったと報告しています。
一方で乳酸菌も侮れない食材です。人間の腸管内には善玉菌と悪玉菌が拮抗して存在していますが、悪玉菌が優勢になると有毒物質が産生され、代謝障害や免疫力低下に基づく各種疾患を招きます。食事として摂取された乳酸菌はこのバランスを善玉菌優位に導き、ガンを含む各疾患の治療や予防に寄与します。古来より漬け物やヨーグルトなどの乳酸菌発酵食品が活用されてきましたが、乳酸菌100%のサプリメントも商品化され、臨床応用されています。
多くの食事療法で油脂類はガンを誘発するとして忌避されていますが、いかなる油脂も良くないのでしょうか。動物性食品に含まれる飽和脂肪酸はもとより、ヘルシーな印象のある植物油に関しても、油自体の酸化の問題があるので極力避けるに越したことはありません。ただシソ油(エゴマ油)やアマニ油にはαリノレン酸が豊富に含まれており、免疫力向上やアレルギー防止、それにガン発症を抑制する効果があるとして、適量ならば用いることが勧められています・・(続く)
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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