(続き)・・このゲルソン療法は日本でもガン患者を中心に取り組む人が多数おりますが、1日に13回もミックスジュースを飲むなど余りにも厳しい食事法のため、長続きしない人も続出しました。また大豆製品を禁止するなど、日本人からすると首をかしげたくなる要素もありました。そこで精神科医の星野仁彦氏は、自身のガンを克服する目的もあって、このゲルソン療法を日本人に適した形にアレンジして提唱しました。これが「星野式ゲルソン療法」です。
そこでは動物性食材や油脂類、塩分の厳しい制限はゲルソン原法と同様ですが、野菜、果物ジュースの飲み方を、1回500ml前後、1日3回以上飲む、というように若干実行しやすくなっています。これなら日中仕事をしている人でも何とか取り組めそうです。またそれと並んで納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品、玄米などの未精製穀物、ワカメ、昆布などの海藻類の積極的な摂取を勧めています。これらは皆、昔から日本人が日常的に食べていたものばかりです。
この食事法によって星野氏は自身のガンを見事に克服したほか、何千人というガン患者が症状を改善させました。上述の外科医である済陽氏はこの画期的な食事法をさらにアレンジし、多くのガン患者に勧めてきました。ガン患者110人に試した結果では「治癒」が13人、「改善」が58人、「不変」が2人、「進行」が3人、「死亡」が34人で、有効率が66.3%という、驚くべき結果が得られました。つまり3人に2人は奏功したという計算になります。
このような素晴らしい治療結果をみると、ガンの最大の原因と手掛かりは「食事」にある、との思いを新たにします。つまりガンは全身の栄養の偏りに起因する代謝障害がその最たる原因だということです。前出のナチュラル・ハイジーンの考え方でも、ガンは全身に酸化物質など有毒物質が蓄積する「毒血症」の最終ステージにあり、その毒血症を根気よく改善していくことで、段階的にガン体質から離脱することが可能だ、と説いています。
具体的には、肉などの動物性食材や油脂類、塩分は体を酸化させ、ガン遺伝子のスイッチをオンにし、ガンを発症させる要因になるため、できるだけ制限すべきだというのです。またそれとは対照的に、新鮮な野菜や果物にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、しかも抗酸化作用の強いファイトケミカル(植物性生理活性物質)を多量に含むため、免疫力の向上や酸化物質の除去、ガン抑制遺伝子をオンにするなどを通して、ガンを制御する方向に働くのです。
我々の日常の経験でも、新鮮な野菜や果物を食べると体が洗われたような感覚を覚えるものです。これらを日頃からたくさん食べることはガンの治療や予防はもとより、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの予防になり、ひいては脳卒中や心臓病の予防にさえなります。日本人は米国人とは対照的に野菜や果物の摂取量が減っていますが、これからは積極的に食べてガンを予防し、より健康的な生活を送るようにしたいものです・・(続く)
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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