ナビタイムカーナビ訴訟 - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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ナビタイムカーナビ訴訟

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ナビタイムカーナビ訴訟

~20年後を見据えた特許権~

   河野特許事務所         2011年3月8日 新井 景親

 

1.東京地裁における判決(平成21年(ワ)第35184号)
 2010年12月6日に東京地裁において、パイオニアが、自社が所有する車載ナビゲーション装置の特許権(特許第2891794号及び特許第2891795号、いずれも1991年4月12日出願)を侵害するとして、ナビタイムジャパンを提訴した事件について判決がなされました。特許権に係る発明の概要は、複数の目的地又はサービス施設を示すデータをメモリに記憶し、操作によってメモリから前記データを読出して目的地又はサービス施設を選択し、目的地までの航行情報(例えば距離・方位)又はサービス施設を表示するものです。ナビタイムジャパンの実施技術は、サーバ及び携帯端末からなり、携帯端末にて、目的地を検索履歴から選択するか又はメモリに記憶した複数のサービス施設から一のサービス施設を選択した後、目的地又はサービス施設のデータをサーバに転送し、サーバにて必要な処理を実行し、目的地までのルート又はサービス施設の位置を示すデータを作成して携帯端末に転送し、携帯端末にて前記ルート又は施設を地図上に表示するものです。

2.主な争点についての当事者の主張
 パイオニアは『車載ナビゲーション装置は、構成の一部を車両に載せる必要はあるが、構成の全てを載せることまでは要求しておらず、ナビタイムジャパンは自社の特許権を侵害している』と主張しました。一方ナビタイムジャパンは『車載ナビゲーション装置は、特許請求の範囲に記載された全ての構成要件を含む装置であるから、全ての構成要件が車載(車両に搭載)されていなければならない。被告サーバが車両に搭載されないことは自明である』と主張しました。

3.東京地裁の判断  
 東京地裁は、車載ナビゲーション装置は、特許請求の範囲の記載や本件各明細書の記載に照らして、その構成のすべてが車両に載せられた状態にある必要があるとし、原告の主張を採用しませんでした。そして『ナビタイムジャパンの装置は、サーバと携帯端末とからなり、一体の機器である「ナビゲーション装置」ではなく、むしろ「ナビゲーションシステム」というべきものである。サーバは車両に積み載せられておらず、かつサーバがなければナビゲーションシステムとしての機能を果たさないものであり、ナビゲーションシステムが車両に載せられているということはできない。』とし、非侵害と判示しました。

4.20年後を想定する
 結果論にはなりますが、特許権の内容がナビゲーションの基本的な技術であるが故に、サーバ機能のみを特許化していれば、パイオニアにとって大きな武器になったことは想像に難くありません。ただ出願当時は、基礎的な分散処理が提案され始めた頃であり(例えば特開平2-3083号公報、1988年6月17日出願、サーバ装置にて地図情報を小地域に分割し、端末に転送するシステム)、インターネットを一般的に利用できる状況でもなかったので、サーバのみの想定は難しかったと思われます。 現在では、出願前に特許文献又は技術雑誌などを調査して将来の利用態様を想定し、20年後も使える広い権利になっているかどうか専門家を交えて充分に検討することができます。

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