- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
古い日本建築を見るといつも思うこと、それはこの国の建築が木と土と草で作られていたんだなあという素朴かつ当たり前の感覚です。当たり前だけれど今の時代ではそれが当たり前ではなくなっていて、多くの新建材やコンクリートが多用される現代建築においては、下手をすると仕上げにこれらの自然素材が見えることは無いのです。クロスの壁天井、木のような模様の付いた合板フローリング、プラスチックのカバーの付いた照明器具、セメント系の外壁サイディング、誰もが決してそれが気持ちがよいと思っているわけでもなく、望んでいるわけでもないのに、利便性と価格の安さからか大量に普及し、私達の生活を埋め尽くしています。
これらのイミテーション的なものには時間の経過に耐える力がありません。逆に自然素材には時間と共に増す魅力があります。古い建築だからこそ、経年変化により増した魅力というものが余計に目に付き、余計に意識されるものだと思います。