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日経記事;シャープ,奇美と提携 液晶パネル生産分担 に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月4日付の日経新聞に、『シャープ、台湾・奇美と提携 液晶パネル生産分担』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『テレビ用の液晶パネルで世界5位のシャープは同3位の台湾・奇美電子と提携する。シャープはテレビの省電力化につながる最新のパネル技術を奇美電子に供与し、同社から安価な中型パネルを調達する。

シャープは得意の大型パネルを奇美電子に供給する。コスト競争力のあるパネルを相互に供給し、新興国向け商品の開発を急ぐテレビメーカーに売り込む。

テレビ用のパネルは日韓台の大手メーカーが激しいシェア競争を繰り広げてきた。それぞれの強みを生かして製品を補完する提携は初めて。

シャープが奇美電子に供与するのは、液晶分子の向きを細かく制御することでパネルの消費電力を抑える技術。社員を派遣し同じ品質のパネルを奇美電子がつくれるようにしたうえで、価格競争が厳しい20~30型台のテレビ用パネルは奇美電子に生産を委託する。

大型パネルに強いシャープは40型以上を奇美電子に供給する。すでに技術供与契約を結んでおり、年内に相互供給を始める計画だ。

奇美電子は電子機器の受託生産で世界最大手の台湾・鴻海精密工業の傘下企業。
2009年の売上高は約1兆3500億円。シャープとの提携により、省エネ技術のほか3次元(3D)対応などパネルの付加価値を高める技術を順次取得。シャープからの生産受託を拡大し、売上高を伸ばしていく戦略だ。

シャープはテレビメーカーのコスト削減要求が厳しい中型パネルを奇美電子から調達することで、品ぞろえを強化する。

米ディスプレイサーチによると、10インチ以上の液晶パネルの世界シェア(09年)は奇美電子が3位でシャープは5位。単純合計するとシェアは22.8%となり、2位韓国LGディスプレーの24.9%に迫る。

シャープは成長市場の中国では中国電子信息産業集団(CEC、北京市)と組んで南京市にテレビ用のパネル工場を建設中で、今春の稼働予定。
さらにCECと合弁で新工場を建設し、相互にパネルを供給する計画があり、中国政府に認可を申請している。。』


何回かブログ・コラムで書いています通り、電気・電子業界では世界市場で勝ち残りを図るため、幾つかの提携・連携が積極的に行われています。
日本企業が守りから攻めへと経営姿勢を積極的に変えていこうとする意志の表れと見ています。

今回のシャープの決定の背景には、液晶事業での利益確保が大きいように感じています。
液晶事業は半導体と同じように常に大型の設備投資を行って最新技術を採用したものを供給し続けないと販売数量を確保できません。

しかもテレビなどのセットメーカーは、より廉価な購入価格を要求してきます。

このような事業環境下で液晶事業を伸ばし、且つ、利益を確保していくためには、1社での投資や製造での対応には難しさが伴います。

シャープの場合、台湾・奇美電子と提携するのは、以下の方針によるものと考えます。

・シャープは、得意な大型パネルの生産と供給に専念し奇美電子にも供給すると共に、奇美電子からは中型パネルの供給を受ける。大型パネルの生産性と販売金額を上げる。

・シャープは、廉価な中型パネルを供給してもらうことで、テレビセットメーカーから要求の強い廉価なパネル供給に応じられるようにする。

・一方、奇美電子の方は、シャープが得意とする大型パネルの供給を受けて、製品ラインアップの拡充が図れる。
さらに、シャープより省エネ技術のほか3次元(3D)対応などの高付加技術を提供され、パネルの高機能化を図れるメリットがある。

上記、シャープ/奇美電子の連携スキームを見ますと、奇美電子の方がメリット感を持てる気がします。

シャープから見ますと、今回の提携の要因は円高対策もあると見ます。

液晶事業はシャープにとって重要なコアビジネスアであり、技術流出を防ぐため今まで三重県亀山工場と堺市の工場で生産・供給・輸出しています。
昨今の円高でシャープの液晶事業の利益は大幅に落ち込んだようです。

円高の影響を受けやすい中型パネルを海外から供給する体制を迅速に立ち上げるため、奇美電子にコア技術の一部を提供して、「Win/Win」関係の構築を行った可能性があります。

以前ブログ・コラムで書きました様に、既に日立の子会社がスマートフォン用液晶パネルで、鴻海と提携しています。
得意分野は自社で行い、利益が取れにくい分野は台湾などのメーカーと提携・連携するやり方が更に広がる可能性があります。

どのような形で「Win/Win」関係を構築し、維持していくかが提携・連携の鍵になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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