- 税所 彰
- リソース キャリアコーチ
- キャリアカウンセラー
対象:キャリアプラン
- 宇江野 加子
- (キャリアカウンセラー)
- 冨永 のむ子
- (パーソナルコーチ)
先の戦争について、体験世代の日本人はなぜか揃って
口を閉ざしました。学校や国もそれぞれの理由から
でしょう、子供たちに戦争について教えることを避けて
きました。
「戦争があったの?」「どこと戦ったの?」
真顔で質問する若者が出現するに至っては、悲劇を
通り越してもはや喜劇です。
歴史から学ばない、これは悲しい日本の現実です。
一冊の小説が、この状況を変える一条の光を投げ
かけています。
「永遠のゼロ」は、2006年に発表されて以来、徐々に
感動と共感の輪を広げています。
読者の多くは若者を含む戦後世代です。
◆ ◆ ◆
絶望的な戦いのなかで、「生きて家族のもとに帰る」
という約束を果たすため、最後まで生への執念を燃やし
続けた戦闘機乗りの話です。
フリーターに甘んじている健太郎は姉と共に、特攻隊
で戦死した祖父のことを調べ始めます。
祖父、宮部久蔵はゼロ戦のパイロット。歴戦の勇士でした。
小説は、真珠湾攻撃、ミッドウェイ海戦、ラバウルでの
航空戦、そして沖縄特攻戦、と太平洋戦争の主要な戦い
に参加した宮部の足跡をたどりながら、日本がいかに
あの戦争を戦い、敗れていったかを丁寧に描いて
いきます。
最後に、祖父を巡る謎が解き明かされる、この小説の感動
の結末が用意されています。
◆ ◆ ◆
世代を越えて戦争を伝える物語が現れた、という感慨を
持ちました。 より多くの若者たちが、小説をきっかけにして
戦争について学ぶことを望みます。
まず事実を知ることです。そして考えて欲しいのです。
なぜこんな悲惨な戦いになってしまったのか。
なぜ日本軍は人間を粗末に扱ったのか。
なぜ軍部は独走したのか。
なぜ国民やマスコミはブレーキを掛けられずに流されて
いったのか。
歴史は繰り返す、といいます。
歴史から学ぶことは、人間の知恵を信じ、現在と未来を
よりよく生きることに繋がるはずです。
それにしても、あの戦争について誰も語ろうとしなかった
のはなぜだろうか。久しく疑問に思っていました。
あれだけの戦死者を出しながら。あれだけ不条理な目に
遭いながら・・・。
事実は逆なのでしょう。戦争を体験したひとびとにとって、
口に出して語るには余りにも悲惨な戦争だったから、と
思えます。
「永遠のゼロ」百田尚樹著 講談社文庫
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