あと、もうひとつすごいなと思うのは、この企画に賛同して、ギャラリーから見える範囲の屋上に、作品を設置させてくれる建物が多数あること、そしてその設置を実現すること自体、いろいろな点でハードルがあったことは想像に難くないのですが、それを乗り越えて成功させたことに、このエキシビションの関係者の力量と、また、ロンドンの人々の文化に対する深い理解を感じ、感嘆せずにはいられません。
これに限らず、こういう様々なエキシビションを見ると、都市や建築と言うものは、文化的な存在であるべきである、という視点があり、それをアートの側でもサポートしていこうという態度があちこちに見られます。しかしこの視点というのはヨーロッパにおいても当然というものではなく、やはりほっておいて何もしなければ文化的なものは衰退してしまう恐れがあることを理解しているがゆえ、積極的に、確信犯的にアピールしているのだと思います。
こういう知的なちょっとした(と言ってもなかなか発想できないのですが)アイデアで、都市を楽しむあるいは楽しくするという視点を、建築デザインにおいても大切にしたいと思いました。
(このコラムは、弊社ブログにも記載されました)