昨日7月20日、私たちの友人のアーティストのエクトル・シエラさんが、私たちのスペースで、彼の作った詩の朗読会を開いてくれました。7月6日に世田谷豪徳寺の現代朗読協会アトリエにて、シエラさんの新しい絵本「だっこして」の出版記念が行われ、同様のちょっとしたイベントを、私たちのスペースを使ってやってもらうことになりました。
今回のイベントでも、シエラさんの絵本の紹介もありました。また、彼が主催しているNGOの「国境なきアーティスト」の活動の様子の一部を見せてくれるDVDの映像作品も発表してくれました。
朗読会は、彼の力強い声と、独特のしかし美しいイントネーションのあることばのリズムにより、参加した誰もが、彼の言葉の世界に引き込まれていました。しかし、シエラさんは言葉だけでの人ではなく、むしろ彼の行動に裏打ちされた人生のリアリティがクリエイティビティと結びつき響きあって、人を引き込んでやまない魅力になっており、それがまたおそらく次の行動への契機につながっていっているのだろうと思います。
シエラさんの活動は、今世界的にブームになっているような現代美術のムーブメントや流行とは明らかに異なる位置にありますが、政治的にまったく無力な個人が、芸術の力を信じ行動することで、直接社会に働きかけ、ある事態を多少なりとも動かし、またその活動自体をアピールすることで潜在的に存在する共感者を掘り起こし、少なくとも人々の認識の変化に寄与することに、まったく成功していることは、彼が紛れもなく優れたアーティストである証拠です。彼と出会った人は、世界へのものの見方が変わります。
シエラさんの活動に興味のある方は、国境なきアーティストのWEB http://www.artwit.org をご覧ください。
(このコラムは、弊社ブログにも記載されました)