- 原田 健二
- 株式会社エムアールプランニング 代表取締役 マーケティングリサーチプランナー
- 東京都
- リサーチャー
対象:リサーチ・市場調査
来年度マーケティング課題:近未来生活者像の探索とビジュアル化
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今年5月に“ 10年後の日本「今より良くない」75% ―消費伸び悩む要因に―”の見出しで、
電通総研の調査結果が記事紹介されていました。(5/23付朝日新聞)
調査結果の概要:
― 10年後の日本は『今より良くなっていると思わない』とした人が75.2%に達し、これまで最悪だった1996年の
70.7%を超えた。
老後の生活にお金の面で不安を感じる人も50.3%に上り、今を楽しむより将来に備えたいとの思いが強く、
重点的にお金を使いたいことを聞いたところ、『ゆとりを持って生活で蓄え』 が59.5%でトップだった。
景気が回復し始めても、将来への不安から消費者の財布の紐が固くなっている。
環境や社会問題には関心が高く、買い物などをする際には『公共性も考慮すべきだ』が45.1%だった。
値段が高くても環境に配慮した商品を利用したい人も46.9%いた ―
このような調査結果から、『安い値段で機能が良ければ売れる時代から、企業は環境などへの対応が必要になってきた』
と指摘し、経営者も意識改革が必要だと強調していた。
この調査で注目したいのは「10年後の日本」をテーマとしている点です。
今日、各界・各企業からマーケティングリサーチや社会調査に対し、「10年後の△△△」「10年後の◇◇◇」あるいは
「5年後の×××」…のように、近未来の社会(市場)を予測するための様々なテーマ設定が求められています。
なぜなら、商品や事業の提供対象者である顧客の「将来像」を探索し、洞察し、イメージ化することが極めて重要だ
という認識に立っているからです。(将来の市場理解、生活者理解)
次に、この記事で注目したいもう一点は、「経営者の意識改革の必要性」の指摘です。
「今、多くの経営者は環境や社会問題に対する生活者の思いを理解していないのでは…」と痛烈な批判を込めています。
今後、企業は、社会問題とそこから発生する人々の様々なニーズと期待に応えるため、将来社会構造や市場構造
あるいは生活者像を見通し(予測し)、その見通しを具体的に経営計画に取り込み、反映させることが重要でしょう。
なぜなら企業は、昨今のような短期対応型経営から脱却し、中長期展望型経営に転換すべきだからです。
来年度からは近未来の社会、生活者、市場を透視するためのマーケティング活動の重要性が高まるでしょう。
私達リサーチャーの果たすべき役割は大きいと改めて自覚したいものです。
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