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村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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日経記事『花王とカネボウ,化粧品ブランド3割減効率化急ぐ』考察

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経営戦略 M&Aの事例と経営上の課題

皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月9日付の日経新聞に、『花王とカネボウ、化粧品ブランド3割減 効率化急ぐ 商品数も削減 生産・営業を一体運営』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『花王は傘下のカネボウ化粧品と共同で、現在25ある化粧品の主要ブランドを2013年3月期までに最大3割減らす。商品数も同程度削減し、両社で工場の相互活用と営業拠点の一本化も進める。花王は06年にカネボウ化粧品を買収し、グループの化粧品事業は国内2位だが、効率化の遅れなどで営業赤字に陥っている。消費不振で市場が縮小に転じる中、事業構造を抜本的に見直す。

花王とカネボウ化粧品を合わせた化粧品事業の10年3月期の売上高は9%減の2651億円。営業損益は約302億円の赤字で、カネボウ買収に伴うのれん代などの影響を除いても約17億円の赤字だ。開示を始めた09年3月期以降、2期連続の減収・赤字となった。

これまで売り上げ確保を優先し、顧客の年齢や好みに合わせて両社のブランドを抱えてきた。今後、メーキャップ化粧品「ケイト」(口紅やアイシャドー)といったカネボウで年商100億円を超える7ブランドや、花王の基礎化粧品「ソフィーナ ボーテ」(乳液や化粧水)などに経営資源を集中。認知度が低く、売り上げの小さいブランドを5~8程度削減する。対象は今後詰める。両社合わせて数千の商品数も最大3割程度減らす。

両社で別々に手がけてきた生産と営業体制も見直す。花王の東京工場(東京・墨田)、カネボウの小田原工場(神奈川県小田原市)の間でコスト削減効果の大きい品目を互いに生産委託し、原料の共同調達も拡大する。

営業拠点はすでに名古屋市で一本化、他の主要拠点の統合も検討する。営業は引き続き別々に手がけるが、販促などは共同展開する。一連の策で12年3月期の黒字(のれん代などの影響を除いた営業損益ベース)転換を目指す。今後は共同でインターネッ通販に本格参入するほか、アジアで互いの販路を活用するなど海外事業で連携する。

花王に先行して、他の化粧品大手もブランド戦略の見直しに着手。資生堂は約5年前に約100あった重点ブランドを4分の1に絞った。3位のコーセーは今春から1年をかけて「コーセー」ブランドの商品群のうち最大3分の2を減らす。。。』


花王は、今まで経営能力が高く良い業績を上げてきていましたので、上記記事にはしょうしょう驚きました。
私は、花王は単に事業領域を拡大するためにカネボウを買収したとは考えていません。

それまで、花王の持っていた化粧品事業の強化を狙って業界の名門企業でブランド力を持っていたカネボウを買収したと考えています。

私の経験に基づいて、今回の花王の決断の状況に至った背景は以下の通りと推測いたします。

大きな要因は、市場環境の読み違えから来ていると考えます。
国内化粧品市場は明らかに右肩下がりです。消費者の経済余力は明らかに下がっており、今まで聖域であった教育投資も減少しています。化粧品も例外ではありません。

国内の化粧品市場環境下では、資生堂のシェアを奪い取ってダントツで一番になること以外、生き残ることは出来ないと思います。
資生堂から大きなシェアを取れない場合は、海外市場開拓を積極的に行う必要があります。

一般的にM&Aを行う場合、経営統合の成果を1~2年以内に出すように、商品ラインナップの整理と強化、両社の経営プラットフォームの共通化や統合、削減を行って合理化し、余分なコストはそぎ落とすようにします。いわゆる集中と選択です。

パナソニックが三洋電機買収後、ブランドを含めて両社機能のの整理統合を行っていることが良い事例です。

カネボウは、しょうしょうきつい言葉で言いますと、化粧品業界ではそれなりのブランド力を持って存在感がありましたが経営を失敗した会社です。
花王が買収した後は、全て花王がリーダーシップを取って、上記統合作業をスピード感を持って行う必要があったと考えます。
これは、買収側の強い意志がないと実行できません。

ましてや、国内市場は減少しており、買収前から統合作業の青写真を持っておいて即時に実行すべきでした。

花王は優秀な大手企業ですが、化粧品事業ではBクラスでした。それゆえにカネボウを買ってブランド力を強化して、資生堂を上回る化粧品メーカーになるという目標があったのだと考えます。

市場環境が厳しく、海外を含めて他社との競合が激しい状況では、強者連合になる以外、生き残れません。
今の花王に必要なのは「集中と選択」です。

この観点から、上記記事に記載されています花王の対応は正しいです。痛みは伴いますが、花王経営陣が強いリーダーシップを持って行動計画を作り、少なくとも半年市内に対応が終わるようなスピードで行う事を期待します。

欧米企業のM&A事例に、手本となるものが多くあります。
今後の花王の展開に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

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