11月30日の第14回税制調査会において国民新党亀井亜紀子政調会長が
報告した「税制改正重点要望」に、注目されるべき改正項目がある。
「仕送り減税制度の創設」である。
大学等の教育機関が偏在している実態を踏まえ、親元を離れて大学等に
進学する子等を有する世帯の家計を支援することにより、当該世帯の
経済的な負担を軽減するとともに、教育の機会均等に資することを
趣旨とした「仕送り減税制度」では、大学等に在学する子等の扶養親族
(居住者の自宅外に住所を有し、かつ、23歳未満の者に限る)を有する
居住者は、当該扶養親族の学生生活に必要な家賃及び光熱水費に係る
一定金額について、その年分の所得税の額から、税額控除を受けることが
できる、とするものです。
適用に当たっては、1500万円以下の所得制限を設け、家賃及び光熱水費の
おおむね4分の1に当たる金額(学寮6万円、下宿、アパート等12万円)
を上限とすること、確定申告が要件であり、その際、扶養親族の大学等の
在学証明書、扶養親族の住民票、家賃及び光熱水費の支出を証明する
領収書等の書類を添付すること、等が必要になるようです。
国民新党は、このような案を「特定扶養控除の廃止に見合う代替案として
導入」することを提言しており、平成22年度学校基本調査の速報値や
日本政策金融公庫が11月12日に公表した「教育費負担の実態調査結果
(国の教育ローン利用勤務者世帯)」等の資料を添付して、税調で報告した
ことからも、制度導入の実現に向けて、議論を進めている。
政府税調の基本方針に、減税に伴う財源を確保できること、が挙げられるが、
「仕送り減税」については、増税に対する減税対案であるだけに、
減税に見合う財源の問題は最初からクリアされてしまうことになろう。
そういう意味では、巧いところに手をつけたなと思いますね。
書面添付を要件とした適用としたことは、大いに評価したいところです。
親の税金に関与することを学生である子供にも理解させるきっかけにも
なるでしょうし、これこそ租税教育の実践でしょう。
税を講義することだけが、税に対する国民への啓蒙ではないはずです。
是非とも実現して頂きたい政策の1つですね。
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