- 渡邉 松男
- 株式会社松岡建築設計事務所 代表取締役社長
- 建築家
対象:住宅設計・構造
『いや、私はその大理石の中に神様が隠した姿を彫り出しているだけなんです。』
『どうしてこのような素晴らしい彫刻ができるのですか?』と
訪ねられた彼は、そのように答えたそうだ。
数日前、修行に出ていた一人が弊社を訪れてくれた。
彼は以前、弊社のスタッッフとして働いていた。
彼いわく、『勤めていたあの時は、ちっぽけなことに悩んでいた。』
そして、『な~んんだ、こうだったんだ!』と
あのときに叱られた事、指導された事の意味を
この修行中に感じ、目覚めたそうだ。
仕事の仕組みが分かり、自分なりの仕事の流儀がもてたそうだ。
そして、肩の力が抜けた様なその顔は、
どこか自信に満ち合われているようで、
応対をした私は、とても幸せな気分になっていた。
悟りきったような静かな時間、
その空気感みたいなものを共有できたように思う。
私は時々、スタッフに『指示』をだしたり、
『アドバイス』をしたりする。
しかし、それへの反応は鈍く、
理解さえしてないように思うときがある。
きっと、『なに言ってんだろ??』なんて、
彼ら自身の価値基準で判断をしているのだろう。
若さ故、それはそれで無理も無かろう。
私自身、今でも満足な仕事はできないが、
ある程度の経験をしてきたからか、
自分なりの仕事の流儀みたいなものが用意できている。
確かに若いときには、
『このオジさん、へんな事を言うな~ぁ・・・。』なんてことが
頻繁にあったように思う。
こうやって、様々な経験をしてみると、
やはり『一流の人』や『一流の仕事』に触れてみること。
それも出来れば、若いうちに経験することをおすすめする。
そう、謙虚さを持ち、向上心を掲げ、
夢と希望をもって仕事に臨んで欲しい。
私自身を含め、
もっと高い所に、身を置いて欲しいものだ。
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