- 宮原 謙治
- 霧島住宅株式会社
- 工務店
対象:住宅設計・構造
現在の住宅は、『見せまい』『聞かせまい』『言わせまい』 とするプライバシーの確保を最優先した断絶システムですから、世代間の隔離された生活環境を同じ場所に合わせつくることが、二世代・三世代同居の良いシステムになります。
つまり、干渉の調和がどの程度まで許容されるかよく見極めて計画することがポイントとなります。例えば、玄関、便所、浴室、台所、食堂、居間、客間のような共同箇所です。
端的に申しますとすべての部分は両者共用を避けて、完全独立が理想とされる場合もあリますが、同居生活のデメリットばかり指摘しそれに対する防護策だけでなく、同居することによるメリットの追求とその効果的利用をも充分に考えるべきだと思います。
単純に無干渉を求めることは、人間性を無視した残酷さを感じさせられますし、あまりにも利己的な行為ではないでしょうか。 もし親子としての温くもりのある血が通っているとすれば、親子の情愛を表現する何かを生活環境の中に仕組まなくとも良いものでしょうか。
住宅の計画をしていて、『玄関を共用しなさい』『便所を共用しなさい』などと一概に言えるものではありません。その人、その家族によって条件が異なりますので、住む家族との真剣な協議によらなければ、何が良いとか何が悪いとの結論がでないのです。
物には表と裏があるように、メリットとデメリットを出し合うが大切です。
また、お互いが常に変化している・・・現在のチェツクと将来の予測をすることが大切なことです。すなわち、今は良いけど将来はどうかということを考えることです。
住宅における家庭生活は、過去による原因の結果として現在があり、また現在の家庭環境は将来の同居の生活の因をなすのですから重要です。二世帯住宅の計画は異世代仲良く安心平和な生活を永続できる条件づくりですね。(続く)