- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
10月末から10日ほど秋のパリに行ってきました。色づいた街路樹の葉がハラハラと落ち始め、美しい季節です。
パン業界誌の原稿を請け負っていることもあり、たくさんのパン店を回りました。
パリは数年前どこのパン屋も(それは有名店も近所の普通のお店も)ずいぶんとグレーの色みの強い粉を使い、なんだか皮がちょっとふにゃけていました。通りを歩いていたとき知人の抱えていた長いバゲットが、突然目の前でべろんと折れたのを見たときには、ほんとにびっくり(何もしていないのに!)。粉がグレーというのはつまり灰分が多いことを意味し、それは昔のおいしいパンへの回顧であり、ちょっとした流行でもありました。
この傾向は徐々に落ち着きを取り戻し、温かい黄色みのかかった小麦粉色のバゲットばかりになりました。塩はきちんと入っているのに、塩味が突出しない(これは小麦粉の風味が豊かにあるということです)、バランスの取れた味です。フランスの粉は一本挽きといって、大まかに言って、原麦からそのまま一つの小麦粉にするので雑味も含んだ粉になります。
同じバゲットでも、各店その風味、味わい、食感、香りがみんな違って、本当に奥深いと思わされます。来る日も来る日も食べ続け、今回のとてもおいしかった2店をご紹介しましょう。
まずは2010年パリ市バゲットコンクールでグランプリを取った、「グルニエ・ア・パンGrenier a pain」です。このお店はパリ市内にいくつも店舗がありますが、優勝したのは18区モンマルトルに近いアベス通りのお店です。
38 rue des Abbesses 75018
口に入れた瞬間の力強い味わいにノックアウトされました。「今年の優勝店が一番おいしかっただなんて、なんて安直な結果なのかしら・・」と思いつつ、どうしようもありません。その力強さは、自信や勢いの現れ!? モンマルトルの丘、サクレクール寺院への観光の折にはぜひ行ってみてください。
さてもう1軒。たまたまですが、グルニエ・ア・パンのすぐ近く、同じ通りに人気のお店「コクリコCoquelicot」があります。
24 rue des Abbesses 75018
パリ在住の知人にピッコロという太めのフランスパンがおいしいと教わり、さっそく買いに行ってみました。
それは通常のバゲットの生地を太めにぶりんぶりんとねじって焼いたもので、その分だけ身がむちっとしています。普通のバゲットもビオ(オーガニック)のバゲットもどれもこのお店のバゲットはやさしく丸い味わいでしたが、ピッコロはがぶっと囓ると味がより濃厚に感じられ、やさしいながらもボリュームのある味わいです。ハムやバターやチーズをいっぱいはさんで大口開けて食べたい! という願望が沸いてきます。どちらかというと中身がいっぱいのバタール好きな日本人にはもってこいかもしれません。
カフェも併設されていて、大振りなボウルでカフェオレと一緒にどうぞ。次から次から人がやってきて、人気のほどが伺えます。パンをくるんと包む紙さえも素敵。店名のコクリコ(ひなげし)が描かれています。朝7時半から営業しているので、ホテルを抜け出し朝ご飯に行ってみてください。活気はあるものの、猥雑さのない通りです。道行く人を眺めながらの朝食も格別!
詳しいパンのレポートは、後日ブログにてお届けします(ただいま準備中)。ぜひご覧ください!
さて来週は、一番おいしかったクロワッサンのお話です。
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