米国特許判例紹介:KSR 最高裁判決後の自明性判断基準(第15回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許判例紹介:KSR 最高裁判決後の自明性判断基準(第15回)

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米国特許判例紹介:KSR 最高裁判決後の自明性判断基準(第15回) 

~2010KSR ガイドライン~ 

河野特許事務所 2010年11月5日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

(3)Perfect Web事件[1]

(i)判決骨子:有限の特定・予期される解法が存在し、かつ、予期できない効果に係る証拠が存在しない場合に限り、「試すことが自明」論拠により自明とすることができる。「常識(Common Sense)」は、十分理由付けができる場合に限り自明の結論をサポートするために用いることができる。

(ii)背景

 Perfect Web(以下、原告という)はU.S. Patent No. 6,631,400(以下、400特許という)の所有者である。400特許は、目的とする消費者グループに対し大量の電子メールを配信する際の管理方法をクレームしている。400特許は電子メールシステムの熾烈な開発段階にある2000年4月13日に特許出願され、2003年10月7日に特許が成立した。

 

参考図25 大量電子メール配信システムを示す説明図

 参考図25は大量電子メール配信システムを示す説明図である。大量電子メールサーバ4はマーケティング担当者6の依頼を受け、大量の電子メールを受信者8,9,10に配信する。サーバ4は、配信メール中、配信に成功したメール数と、所定数量とを比較する。そして、配信メール数が所定数量に達しなかった場合、配信メール数が所定数量に達するまで、受信者のマッチング処理、配信処理及び計数処理を繰り返し実行する。

 問題となった400特許のクレーム1は以下のとおりである。

1.大量電子メール配信管理方法であり以下のステップを含む、

 (A)目標受信者プロフィルを目標受信者グループとマッチングさせ、

 (B)前記マッチングしたグループ内の目標受信者へ、一組の大量電子メールを送信し、

 (C)前記一組の大量電子メールの内、前記目標受信者により首尾良く受信されたメール数を計算し、

 (D)前記計算された数が、首尾良く受信されたメールの所定最小数を超えない場合、前記計算された数が前記所定最小数を超えるまで、前記(A)~(C)のステップを繰り返す。

 クレーム1の内、ステップAB及びCは先行技術に開示されている。ステップA~Cを繰り返すステップDは先行技術に開示されていない。地裁は、ステップA~Cの処理を繰り返すことは常識であり自明であると判断した。原告はこれを不服として控訴した。

(iii)争点

争点1:「常識」がステップDを教示しているか否か?

 ステップDに対応する事項は先行技術中に全く記載されていない。KSR最高裁判決後、「常識」をどのように用いて、自明と判断するのかが問題となった。

争点2:長期間未解決であった必要性が存在するか否か?

 「発明が長らく切実に感じられていたこと」、及び、「特許出願時に満たされていなかったニーズ」を立証した場合、非自明と判断される。問題となったクレーム1に「長期間未解決であった必要性」が存在するか否かが争点となった。


[1] Perfect Web Technologies, Inc. v. InfoUSA, Inc., 587 F.3d 1324, 1328–29 (Fed. Cir. 2009)

 

                                  (第16回へ続く)

 
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