小売業の労務管理 - 人事労務・組織全般 - 専門家プロファイル

西川 幸孝
株式会社ビジネスリンク 代表取締役
経営コンサルタント

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対象:人事労務・組織

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小売業の労務管理

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業種別労務管理のポイント 小売業の労務管理

1.労働時間管理

労働時間の原則は、1日8時間以内かつ週40時間以内ですが、常時10人未満の労働者を使用する商業(小売業など)、映画演劇業、保健衛生業、接客娯楽業については、例外があります。この場合、1日の労働時間の上限は8時間で変わりませんが、週の労働時間は44時間まで可能となります。週6日働くケースでは、一日7時間20分でちょうど週44時間となります。ただし、変形労働時間制を採用する場合は、この例外は適用されません。

小売業は、店を開けている間は誰かが接客対応する必要があります。通常の労働時間では店の空き時間をカバーできないため、早番遅番を設けて対応しているケースもありますが、休憩時間の効果的な設定で全体の労働時間をコントロールする方法もあります。

休憩時間は、1日の労働が6時間を超える場合、労働時間の途中に合計で45分以上与えなければなりません。8時間を超える場合は、1時間以上となります。また、休憩は、事業場ごとに一斉に付与することが原則となっていますが、これにも例外があります。業種が、運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、通信業、保険衛生業、接客娯楽業、官公署の事業に該当する場合は、休憩の付与を一斉に行わなくてもかまいません。小売業もこれに該当します。

スーパーマーケットなどでは、営業時間の長時間化が進んでおり、正社員で開店、閉店の業務を行わなければならないという理由で、労働時間が非常に長くなっているケースがあります。その対策として、業務の途中で、繁忙の時間帯を避けて交代制による長めの休憩時間を設定する方法があります。これにより、実質の労働時間を短くすることができますが、その場合、就業規則に休憩時間のいくつかのパターンを例示し、交替で取得する旨定めておくことが必要です。

2.採用と教育

小売業では、パートタイマーの有効活用が業績向上のカギを握ります。小売業の現場は、一般に少数の正社員と多数のパートタイマーで構成され、実際の接客にはパートタイマーがあたることが多いからです。

パートタイマーの有効活用の出発点は採用です。まず、経営者の思い、会社方針、その店舗が目指すものを明確に伝え、それに賛同してくれる人を採用する必要があります。採用難の中で、そんな手順は踏めないという意見もありますが、考え方や波長が合うかどうかは重要なポイントで、その点の確認ステップにもなります。

勤務内容やその条件をできるだけ具体的に伝えることも必要です。入社後の意識ギャップ、つまり「こんなはずではなかった」という感情が、早期退社の最大の原因になります。

また、簡単なものでいいので、筆記試験を行うべきです。ハードルを乗り越えて入ったという達成感が生まれますし、採用を見合わせる場合でも、面接だけで落とすよりも会社に対する悪感情が残りにくいという効果があります。

採用後は、間髪を入れずに研修を行わなければなりません。最初からルールとして徹底しておけば何でもないことでも、あとから修正するのは大変な労力が必要となります。

研修では、仕事の心構えや、業務内容、身だしなみ、職場のエチケット、あいさつ、言葉づかい、接客態度などを具体的に伝えます。接客サービスレベルに正社員とパートタイマーの違いはありませんので、要求水準は決して低くすべきではなく、行うべき事項、知っておくべき事柄を明確にしておく必要があります。そしてそれらの要求事項に対して、定期的に評価を行うべきです。要求事項が明確で、それに対して的確に評価が行われた場合、パートタイマーは、大きな戦力となります。

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