7.分割後のB社の事業再生
さて、ここまで会社分割の実務を中心にその枠組みとメリットについてみてきたところですが、今回の再編行為の最大の目的はこの会社分割そのもではなく、この会社分割スキームをうまく使ったその後の「事業再生」にあります。
目下そのB社の再生を弊社がサポートさせていただいてるところですが順調に計画は進んでいます。
今回のテーマは「会社分割」にとどめ、その再生プランについてはここではふれませんが、分割を再編スキームとして選択したことによる キャッシュの社外流出止 を中心とした「短期的利益」に加え、ひとまずB社分割後1年以内のA社への ''配当実現'' により今度は「中長期的利益」を誘導することを目標に再生プランを着実に実行中です。
また機会があれば、これについてもご報告したいと思います。
8.まとめ
ここまで会社分割について主に事業譲渡との対比からその優位性・メリットそして実務上の留意点についてご紹介してきました。
事業の状況と立ち位置によって受ける恩恵は変わってきますが、事業再編スキームに「会社分割」を使うメリットは主に
(1) 迅速性
(2) コストセーブ
(3) キャッシュの社外流出回避
です。 さらにここでは触れませんでしたが、法人税法上の税制適格要件を満たすことで
(4) 法人税の繰延べ
という恩恵も期待でき、先述の「消費税」をはじめ、「不動産取得税」「登録免許税」を含めた税効率の高い事業再編が可能となります。
冒頭にお話したとおり、「会社分割」は今回のA社事例のように中小零細規模でも充分そのパフォーマンスを発揮することができます。
今後この「会社分割」と「株式設計」をうまく組み合わせた組織再編手法が中小零細企業にとってより身近なビジネスツールとして有効活用されていくことが期待されるところです。