どの程度の予測が当たれば利益が出るかの考え方 - 資産運用・管理 - 専門家プロファイル

吉野 充巨
オフィスマイエフ・ピー 代表
東京都
ファイナンシャルプランナー

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対象:お金と資産の運用

柴垣 和哉
(ファイナンシャルプランナー)

閲覧数順 2024年04月19日更新

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どの程度の予測が当たれば利益が出るかの考え方

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このところ金融商品、特にFXのレバレッジ制限、危険な取引として規制が強化されています。また、為替の円高で損失を被った人の例が話題になります。これらの中で一体どの程度勝てたら利益がでるのかを考えてみました。その考察です。

勝負の世界、投機の勝敗、株式の騰落率などで必要な、リターンを得る確率を試算してみました。
どの程度予測が当たれば、利益が出るのかの目安としてお考えください。

1.FXを例にとり試算しましたのが、ケース1です。

1ドル=100円で取引を開始、レバレッジを50倍とすると、1円上下することで、元本に対する騰落率は±50%
に成ります。(単純化するため1回の取引の上下幅は1%固定、スプレッド税金は除く)。

証拠金100万円で取引を開始した場合、10回連続して判断が当たる(10連勝)と元本は57,665,039円、利益は約5,600万円です。確かにFX取引の妙味です。

ただし、9連勝して最後に1敗しますと、最終金額は19,221,679円になり、利益は約1,822万円に減少します。
このように考えますと、7連勝以上、勝率が70%無いと利益を上げられません。

7連勝での利益は約114万円ですので、ここから取引手数料とスプレッド(50倍のレバレッジが掛っています)及び税金が引かれます。

レバレッジを掛けますと、判断が当たった時には利益は大きいのですが、間違った場合の損失も大きなものになります。

ちなみに10連敗した場合には、最終手元に残るのは977円です。50倍のレバレッジ取引の1円変動の価値の重さが分かります。

2.株式などの現物取引の例として試算したのがケース2です。(手数料、税金は考慮せず)

 元本100万円、初回取引のリターンが10%ありました。次の取引で10%損をしました。この場合手元に残るの幾らでしょう?
   答えは99万円です。
 これが正しいリターンとリスクのとらえ方で、100×1.1×0.;9であらわされる掛け算の世界です。

 ケース2では、毎回のリターンは10%としています。従っても価格が上昇すると110%、下がった場合には90%を掛けます。

10回連続して判断が当たった場合には、元本100万円が2,593,742円に成ります。利益は約159万円です。
このケースでは6勝しますと利益が出ます。ただし、コストを抜きとしていますので、手数料や税金を考えると勝率6割りでは利益は些少かも知れません。

3.たとえ話の試算ケースです。

よく、「倍儲かって、半分損をする」という話があります。これを表にしました。
この場合には5連勝5連敗で元本が維持されます。ただし、このたとえ話は、儲けた場合の収益率は100%で損失した場合はマイナス50%ですので、正しい対比ではありません。


4.これがリターン100%のケースです。

損をする場合、100%の損失ですので最初の判断ミスで元本が無くなります。勝ち続けた後に取引を止めなければ利益が出ません。じゃんけん総取りゲームと同じパターンになります。

5.6.のケースは、1対1の「じゃんけん」で、勝ち残りするためには何人必要なのかを表示しています。

10連勝ゲームでは1024人の参加者が必要です。

最終の一人に勝ち残れる率は、なんと約0.1%です。9連勝の方でも0.2%ですから強運の持ち主であることが分かります。

7連勝した方は100人に1人出現します。良く投資の本で「私は何億円儲けた」などの特集記事に載るレベルです。
確率的には、20連勝する方は約105万人に1人出ます。
もし、1回の取引で50%儲けた場合には、元本100万円が約33億2500万円になります。

日本の投資家は100万人を大きく超えています、従って、大儲けした投資家は「まぐれ」であった可能性が多分にあります。従い、他の方が同じ取引方法を採用しても、利益が出る可能性は低いと思われます。

また、取引コストを考慮すると、投資取引の繰り返しで利益を出すには、60%程度の勝率が必要と思われます。

2010年9月5日 文責 CFP® 吉野充巨

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