A&M通信 ~第9回 品質問題について~ - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

中山 幹男
株式会社A&Mコンサルト 代表取締役
大阪府
経営コンサルタント

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A&M通信 ~第9回 品質問題について~

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 昨今マスコミ各社にトヨタのリコール問題が大きく取り上げられているが、この問題で日本経済新聞に「トヨタリコール問題を聞く」と題して、米ペンシルベニア大ウォートン校准教授のラリー・ハービニアック氏と、米ミシガン大教授のジェフリー・ライカー氏のコメントが記載されていた。ラリー・ハービニアック准教授は、今回の品質問題は品質を絶え間なく改善する「トヨタ文化」を世界の他の地域にうまく輸出できなかった結果ではないかと説いている。品質より販売台数やコスト抑制が優先課題になっていなかったかと反省すべきだと話をしている。一方のジェフリー・ライカー教授は、今回の不具合はフロアマットやアクセルペダルの部品が主要な原因。また、プリウスは非常な複雑なブレーキ制御システムの中の1つのエラーだと説明し、この不具合でトヨタの技術力やモラルが低下している証拠はどこにもない。この事でトヨタの経営や技術力を否定するような批判がでているのは非常に残念と説明している。新聞、テレビの過剰ともいえる報道の結果、消費者の不安が想定を上回って高まっているとも話をしている。

 二人の教授は正反対的な意見を述べているが、私はジェフリー・ライカー教授のほうが適切な意見を述べているのではないかと思う。今回のトヨタの問題を不具合発生そのもののハード面と不具合発生時の対処方法のソフト面で考えてみる。


  私もクライアント先の品質問題の解決を指導する場面が多々あるが、大切な事は不具合が発生している現象と原因を正しく分析し、適切な改善策と今後の歯止めを実施する事、そして改善策を顧客に適切なタイミングで情報開示する事である。フロアマット不具合は、その要因が純正の全天候型フロアマットを固定せず使うと、マットが移動してアクセルペダルと干渉してアクセルペダルが全開になり戻らなくなる。アクセルペダル不具合は、アクセルペダル内部のフリクションレバー部が磨耗した状態で、この部分が結露するとアクセルの戻りが遅くなる。ブレーキ制御システム不具合は、低速で滑りやすい路面でABSが作動すると制動力の変化がおき、制動距離がドライバーの期待値より変化する。というような現象、原因が公開情報でわかる。


  トヨタはセオリー通り、3現主義に基づいて記載したような現象、原因を確実に分析して暫定策、恒久対策を図ろうとしたが、顧客の不安のほうが先に高まり、その対応を誤った結果としてトヨタバッシングになったのではないかと考える。製品そのものに対応するハード面の適切な処置と、顧客に対処するソフト面の処置がうまくリンクする必要がある。その観点から不具合が発生した場合は、現象・原因・対策の早い見極めと顧客への適切な情報開示が必要と思う。また、ハード面の改善策は信頼性工学でいわれる発生している現象を直接防ぐ対策と、故障が発生しても致命的な不具合にならないフェールセーフ的な対策が必要である。この点ではトヨタは、今回の不具合でアクセルペダルが踏み込まれたまま戻らない異常が発生した場合は、ブレーキを踏めばとまれるシステムを今後投入する全モデルに採用するようである。


  今回の件を教訓としてトヨタも早く信頼を回復して、日本の代表企業として頑張ってほしいと思うともに、私もクライアント先に対して日本品質を誇れるように指導していきたい。

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