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偽装離婚した妻の遺族年金の受給権、仙台地裁判決

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発表 実務に役立つ判例紹介

債務取立から逃れるために偽装離婚した元夫婦の遺族厚生年金について、

元妻が配偶者要件・生計同一要件を満たすことができるかを争った

仙台地裁平成22年6月7日判決(TAINSコードZ999-5189)を紹介します。

 

元夫が経営していたD社が倒産し、厳しい債務取立から逃れるために、

弁護士の勧めに従って偽装離婚したのち、元夫が自己破産していますが、

取立を行っていたF社との訴訟が元夫が死亡するまで継続していたために

法律上の復縁ができなかったケースで、仙台地裁は次のように判示し、

遺族年金の受給権を認めました。

 

原告とAとは、債権者の厳しい取立てから身を守るため、実質的には

婚姻関係を継続する意思で離婚届を提出し、別居したにすぎず、その後も、

互いに行き来し、経済的援助をし合い、原告においてAの日常生活上の

援助をするなどの物心両面の交流が継続していたのであるから、

原告とAとの間には、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる

事実関係を成立させようとする合意があり、そのような事実関係が存在

していたというに十分であり、すると、原告は、Aの死亡当時、

配偶者要件を満たしていたということができる。(略)

原告とAは、止むを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、

生活費等の経済的な援助が行われ、かつ、定期的に音信、訪問が

行われており、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の

家計を一つにすると認めるに十分であるから、原告は、Aの死亡当時、

生計同一要件を満たしていたということができる。

 

この判決は、バブル崩壊後に破産を経験し、一家離散せざるを得なかった

家族に朗報をもたらすかもしれないですね。

ただ、事例判決でしかないことにも注意せざるを得ないでしょう。

判決は、偽装離婚後も「物心両面の交流が継続したこと」を重視しており、

緊急避難的な離婚をせざるを得ない状況が解除された時には、復縁する

ことが明らかな状況であることを要求しているのであって、元夫が

「敢えて別居をして経済的援助関係を秘匿することにより、本来不可能な

生活保護を受給することは法律上許されることではな」いものの、

元妻が遺族年金を受給する権利を否定できないと判断したんですね。

過去の違法性に目をつぶってでも現在の救済の可能性を判断した点で、

評価したい判決ですね。

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