せいさつ（０５７）売れ筋の駄本　書籍の衰退≒人間の衰退

読んで後悔する本は
　・書き手が「売るために」書いた本を
　・作り手が「売るために」仕上げ、
　・売り手が「売るために」陳列した本。

読んで良かったと思う本は
　・書き手が「読んでもらうために」書いた本を、
　・作り手が「読んでもらうために」仕上げ、
　・売り手が「読んでもらうために」陳列した本。

ああなりたくないと思わせる人は
　・「売れる／売れない」という基準だけでものごとを認識し、
　・「売れる／売れない」という基準だけで考え、
　・「売れる／売れない」という基準だけで行動する人。

ああなりたいと思わせる人は
　・「売れる／売れない」という基準だけでものごとを認識せず、
　・「売れる／売れない」という基準だけで考えず、
　・「売れる／売れない」という基準だけで行動しない人。

私たちは私たちの日常において「売れる／売れない」「儲かる／儲からない」という基準でものごとを認識し、考え、行動していることがいかに多いか。

文化教養というものは「売れる／売れない」から出発するとつまらなくなる。
人間も同様だ。

私は、売れるということが悪いと言っているのではない。
出発点を誤ると将来も誤るということを言いたいのだ。

書籍の衰退は人間の衰退を暗示している。

（中沢努「思考のための習作」から抜粋）


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