中国における均等論の解釈(第6回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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中国における均等論の解釈(第6回)

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中国における均等論の解釈

~均等論と従来技術の記載~ (第6回)

上海麗雨光電有限公司
上訴人-原審被告
v.
鶴山麗得電子実業有限公司
被上訴人-原審原告

 河野特許事務所 2010年8月3日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 すなわち、イ号製品が請求項に記載された技術的特徴と実質的に同一の手段・機能・効果を有し、かつ、当該技術的特徴からイ号製品に容易に想到できる場合に均等と判断される。この判断は米国におけるFunction-Way-Resultテスト*9と、日本の均等論解釈における置換容易性*10とを組み合わせたものに近いと考えて良い。

 本事件において人民法院は、明細書の従来技術欄にソフトチューブ灯におけるLEDの設置方式として2つの形式が存在することが記載されている点を挙げた。

打ち孔型ソフトチューブ(垂直型):横向き孔に設置された光源の設置方向が、チューブ長手方向に対して垂直のもの
槽型ソフトチューブ灯(水平型):槽空間に設置された光源の設置方向が、チューブ長手方向に対して水平のもの

 前者が本件特許の形式であり、後者がイ号製品の形式である。人民法院は、明細書に垂直型と水平型の2つが存在すると記載されていることから、当業者であれば、容易に垂直型にて設置された電流制限抵抗06を、水平型にて設置することが可能であると判断した。

 また、電流制限抵抗06を縦向きから横向きに変えることにより達成する手段、機能及び効果は全て基本的に同一であることから、イ号製品は均等であると結論づけた。


5.結論
 高級人民法院は、均等侵害を認め、イ号製品の製造及び販売の即時停止を認めた中級人民法院の判断を支持する判決をなした。
                                              (第7回へ続く)

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