(1) マイホームを買い換える場合
売ったマイホームの代わりに新たなマイホームを取得し、年末においてその新たなマイホームの取得に係る住宅ローン残高がある場合は、一定の要件の下で、売ったマイホームの譲渡損失の金額について損益通算及び繰越控除をすることができます。
(2)マイホームを買い換えない場合
マイホームの譲渡契約締結日の前日において住宅ローン残高があるマイホームを売った場合は、一定の要件の下で、そのマイホームの譲渡損失(住宅ローン残高からマイホームの譲渡対価の額を控除した残額を限度とします。)の金額について損益通算及び繰越控除をすることができます。
(3)主な要件
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買換える場合 |
買換えない場合 |
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売ったマイホームの所有期間 |
売った年の1月1日現在で5年を越えるもの |
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住宅ローン残高 |
不要 |
必要 |
新しいマイホームの取得 |
必要 |
不要 |
|
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住宅ローン残高 |
必要 |
不要 |
繰越控除をする年の合計所得金額 |
3,000万円以下であること |
(4)具体例1 マイホームを買い換える場合
売却代金:2,000万円(取得価額5,000万円)
買換え代金:4,000万円(ローン付)
給与所得:1,000万円
譲渡損失:2,000万円-5,000万円=△3,000万円
・譲渡年の損益通算
給与所得1,000万円と譲渡損失3,000万円との損益通算を行い、控除しきれない損失は翌年繰越。
1,000万円-3,000万円=△2,000万円→翌年繰越
結果、譲渡損失の方が大きいため、所得税はゼロ。
・ 譲渡の翌年の損益通算
1,000万円-2,000万円=△1,000万円→翌年繰越
結果、譲渡損失の方が大きいため、所得税はゼロ。
・ 譲渡の翌々年の損益通算
1,000万円-1,000万円=0
結果、譲渡の翌々年で譲渡損失を使いきり、3年間所得税はゼロ。
(5)具体例2 マイホームを買い換えない場合
売却代金:2,000万円(取得価額5,000万円)
ローン残高:3,000万円
給与所得:500万円
譲渡損失:2,000万円-5,000万円=△3,000万円
3,000万円(ローン残高)-2,000万円(売却代金)=1,000万円
3,000万円>1,000万円 ∴1,000万円→損益通算の上限
・譲渡年の損益通算
給与所得1,000万円と損益通算の上限1,000万円との損益通算を行い、控除しきれない損失は翌年繰越。
500万円-1,000万円=△500万円→翌年繰越
結果、譲渡損失の方が大きいため、所得税はゼロ。
・ 譲渡の翌年の損益通算
500万円-500万円=0
結果、譲渡の翌年で譲渡損失を使いきり、2年間所得税はゼロ。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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