税務調査と税理士の権利 - 決算対策・税金対策 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士

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税務調査と税理士の権利

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雑感 書評

税理士必見の本を紹介しましょう。

右山昌一郎「税務調査と税理士の権利」大蔵財務協会(2010年4月刊)

すでに読まれている方も多いことと思いますが、税務調査のハイシーズンを

前に紹介しておきたいのですね。

 

税務調査を考えるとき、注意すべきはその性質についてでしょう。

「福祉行政を行うためには、国家の秩序の維持とその費用負担が必要と

なります。そこで、これらの点に基づき社会生活とは異なった行政の特質が

定められます。すべての国民の生活は、秩序の下に成立しています。

そして、秩序を形づくる法律を立法で制定し、秩序に係る争いを司法で

法律により裁断しています。その間の秩序違反の取締り(広い意味の監視、

管理を含みます)に権力行政としての警察行政が必要になってきます。

さらに、福祉行政を行う国家は営業を営まない形態として成立しています

ので、その行政費用は納税の義務(憲法30)に基づき国民から租税として

徴収しなければなりません。しかし、租税負担を好きだという国民は

いないといっていいでしょう。そこで、租税負担公平のためにも権力行政

としての租税行政が必要になってきます。ここで重要なことは、この二つの

権力行政は、福祉行政のための下支え又は裏打ちに係る公務員の全体の

奉仕活動の一端であって「官尊民卑」の心で誠実な国民を苛める権力行政

ではないことを述べておきます。」(17ページ)

 

つまり、福祉行政を行うための行政費用の確保のための租税行政であると

おっしゃられるわけですね。そして、税務調査の意味を次のように捉える。

 

「まず税法があって、その課税要件のとおりに申告が行われているかを

確定する事実認定が税務調査だと考えることができます。そこで、何を対象に

事実認定を行うかというと、経済取引が帳簿書類等に正しく反映され、かつ、

公正・妥当な計算等に基づいて適正な申告が行われているかを確定する

ために、税務調査が存在するということができます。」(57ページ)

 

つまり、正しい申告がなされているのかを確認して、申告内容を確定する

ために行われるのが税務調査だ、ということになるのです。当たり前の

ことを当たり前にできていれば、税務調査を怖がる必要はないですよね。

 

そして、「税理士も「租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を

図る」ことを目的としていることから、租税に関する法令が「法的安定性」

及び「予測可能性」に相応しい法令であるか否かの判断が、税理士の有する

自力解釈権の第一歩でなければならないと考えられます。」(108ページ)と

考えるわけです。税務調査での争いについても、法令解釈の相違を争う、

よりよい税務行政の実現に資するものでありたいと思う今日この頃です。

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