中小零細企業 × M&A 【29】 - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

後藤 義弘
代表取締役
社会保険労務士

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月18日更新

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中小零細企業 × M&A 【29】

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ビジネスモデル事例 M&A (組織再編)

6. A社事例における「会社分割」選択のメリット


今回のA社の事例では、当初

 (1)事業譲渡 [外部への売却] もしくは
 (2)店舗閉鎖 [スクラップ]

でのリストラを想定していましたが、

 (3)会社分割 [グループ会社化]

を使った事業再生に方向転換したことで当初選択肢(1)(2)に対し組織再編行為段階ではたしてどれだけの経済的メリットがあったか、また中長期的に見てどのようなメリットが期待できるのかついて整理してみましょう。 まず短期的には

 ・ 解雇回避(雇用確保)
 ・ 解雇回避による訴訟・損害賠償リスクの回避
 ・ 退職金支払繰延べ
 ・ 消費税負担回避 [対 事業譲渡]
 ・ 店舗/設備スクラップ費用負担回避 [対 店舗閉鎖]
 ・ 簡易、迅速な再編による時間的・事務的コスト削減
 ・ 簡易、迅速な再編による(旧X店)損失累積の軽減

など集約すると何よりも

  キャッシュの社外流出がない

ということが今回のA社の事業再編スキームを事業譲渡もしくは店舗閉鎖から会社分割に変更したことによるメリットを説明することができると思います。
上のメリット(対店舗閉鎖時)を集約すると、解雇訴訟対策としての逸失利益相当額の補償を含め、ざっと

  約 2,000万円 

と試算できます。 言い換えれば、少なくとも会社分割活用への方向転換で短期的に 約2,000万円 のキャッシュの社外流出を回避できた、つまり具体的な経済的メリットを誘導できたことになります。

[ご参考]
今回のケースは当てはまりませんが、例えば店舗が自社物件であった場合、つまり会社分割に不動産の移転が伴う場合は、以前コラムでお話したとおり

 ・ 登録免許税
 ・ 不動産取得税

の大幅負担軽減を図ることができ、メリットはさらに大きくなることが考えられます。

(次回へ続く)